1234567890 その七 
タイヤ交換作業を撮影してみました。 
 本来このバイクは標準でチューブレスタイヤを履いていますが、冬タイヤを作る都合上新車時よりチューブを入れて使っています。悪路を走る事のみ考えたならチューブタイヤの方に分があるように思います。
外したリアホイールの上に並べたタイヤ交換の道具の写真
1)
 タイヤ交換の道具達の写真です。タイヤホイルの上に左からタイヤレバー2本、真ん中にL形クランプ(シャコ万力とも言う)、その上に二組のリムプロテクター、右に丸いビートワックス
クランプを使ってビートを落としている写真
2)
 まずはL型クランプ(シャコ万力とも言う)を使ってタイヤビートを締め上げてタイヤレバーの助けを借りてビートを落とします。

 このバイクに採用されているリムはそもそもチューブレスタイヤ用リムです。チューブレスタイヤは文字通りタイヤチューブを使わなくてもタイヤの空気が漏れないようにタイヤとリムの接触部に高い機密性をもたせた構造になっています。そのためタイヤとリムの密着度が強く、簡単に外す事が出来ません。
タイヤのビートを落とした隙間から見えるリムのフランジ部の写真
3)
 特にこのリムにはタイヤビート部のかかる部分の内側に、小さなフランジが出ていて(出っ張りがある)、ビートが落ちにくいような構造になっています。それはパンクしてしまった時にビートの脱落を防ぐ為の安全構造だと思いますが、通常のタイヤ着脱がしにくくなるという副作用を持っています。
携帯用ビートワックスの写真
4)
 タイヤビートが落ちたらビートワックスを塗布します。ビートワックスはバケツで買って使いやすいように小分けして、たっぷり使います。しっかり潤滑をしてやる事で各部の負担を減らしてスムーズな作業が出来ます。
ホイールにビートプロテクターを装着している写真
5)
 交換するタイヤに重ねるようにホイルをセットして、ピートプロテクターを装着して準備完了です。

 ビートプロテクターには適当な長さのストレッチコードが結んであります。途中に何箇所か結び玉を作ってあり、スポークの交点に挟み込む形で留めて適度なテンションでリムに固定されています。このバイクのタイヤは強いので(硬い)リムプロテクターを使わないでレバーでこじるとリムに深い傷を入れてしまう恐れがあります。
タイヤレバーを使ってタイヤを外している写真
6)
 タイヤの手前部分を踏んで十分にビートを落として、レバーを2本同時に使ってビートを外します。
タイヤの中からタイヤチューブを引っ張り出している写真
7)
 ビートが外れたらチューブを引き出します。もしリムに変な傷があると、この時タイヤチューブに傷を付けてしまう可能性があるので、極力リムには傷を付けないように丁寧に扱います。リムの傷を見つけたらヤスリで修正しておきます。
リムからタイヤを外している写真
8)
 タイヤチューブを出したらタイヤを立てて膝を使って反対側のビートも外してタイヤをリムから分離します。外したリムは全周ウエスで拭きながら点検します。
タイヤにチューブを押し込んでいる写真
9)
 交換するタイヤのビート部にビートワックスを塗布して、リムに組み入れタイヤチューブを入れて収めます。
タイヤレバーで手前からピーとをはめている写真
10)
 タイヤビートを手前からタイヤレバーを使って収めていきます。 
ゆっくりとタイヤビートをはめて半分かかった状態の写真
11)
 タイヤビートが半分かかった状態で一休み、隙間から手を入れてタイヤチューブの状態を確認します。これからタイヤレバーでこじる位置にチューブが無い様に中に押し込んで挟まらないようにしておきます。
ビートプロテクターのかかった位置で力を入れてタイヤレバーをこじっている写真
12)
 手前のビート部をしっかり踏んでビートを深く落としておいて、反対側のビートを少しずつタイヤレバーで入れていきます。
最後のとどめにライダーキックをおみまいして作業を完了させた写真
13)
 最後はライダーキックでビートを収めます。偏って嵌っているタイヤをレバーを使っておよその中心にあわせます。コンプレッサーで数回に分けて空気を入れてタイヤ全周のビートを上げます。

 ビートが出たら一旦空気を全部抜いてタイヤチューブを遊ばせます。タイヤチューブにストレスがかかって無い事を確認してから、タイヤチューブの口金に虫を入れて空気を規定圧まで充填します。このバイクは規定圧が2.5から2.8kと高く、チューブへの負担も大きいので、チューブのストレスを抜く作業は入念に行います。
タイヤサイズ表記を写した写真
14)
タイヤサイズの表記です。
 
 「 150/70 B 17 69 Q 」とあります。

タイヤ幅  150 mm
偏平率  70パーセント
強度区分  B
タイヤサイズ  17インチ
適応車両の種類 M/C(モーターサイクル)
耐加重レンジ 69 (325kg)
速度レンジ  Q(160km毎時) 
タイヤ構造表記を写した写真
15)
 タイヤの内部構造と強度に関する表記です。

TREAD : 4 PLIES (2 NYLON + 2 ARAMID)
SIDEWALL : 2PLIES NYLON

TREAD(トレッド):タイヤ接地面
SIDEWALL(サイドウオール):タイヤ側面
4 PLIES :4層構造 若しくは4層構造に匹敵する強度
2 NYLON:2層のナイロン繊維強度部材
2 ARAMID:2層のアラミド(ケブラー)繊維強度部材

平文にすると・・・基本的に2層のナイロン繊維強度部材を使って作られていますが、接地面部分についてはさらに2層のアラミド繊維で増強された4層構造になっています。・・・と、読み取ります。
鋭く傷が入っているオフロード走行用のブロックタイヤの写真
16)
 なぜ?ナイロン繊維だのアラミド繊維だの言うのでしょう?

 それは悪路をバリバリ走り周ると、鋭い岩角等でタイヤに深い傷が出来てしまう事がありますが、鉄よりも強いアラミド繊維の層が内部までのダメージが無い様に守っていますよと主張しているのです。

 アラミド繊維(ケブラー繊維)は防弾チョッキに使われる最強の繊維です。悪路走行用のタイヤならではの表記です。写真のようにタイヤのブロックの隙間のようにタイヤが薄い所にダメージを受けてしまっていても、さほど心配はいらないという特徴があります。しかし当然タイヤは高価になります。
タイヤの銘柄と用途表示の写真
17)
 タイヤ銘柄と使用目的の表記です。

 TKC 80 : 品名

 M+S : マッド アンド スノー (泥道と雪道)
 
このタイヤは悪路走行用のタイヤである旨の表示です。
TKC80をベースに作りたてのスパイクタイヤの写真
18)
 マッドアンドスノー表記のあるタイヤにスパイクピンを打ち込んだものがアイスバーンも走れる冬タイヤになります。
もう使えない壊れたスパイクタイヤの写真
19)
 写真上が過去にアフリカツイン750ccで使っていた冬タイヤです。ブロックが割れて寿命です。下は過去に1150cc用に作って失敗したスパイクタイヤの写真です。そもそもパワーを受け止める力が弱かったので、打ち込んだスパイクピンが一度の走行でボロボロに抜け落ちてしまいました。

 いずれも冬も夏も走る事が出来ないという厄介な代物ですが捨てられない大切なタイヤです。それは・・・タイヤは駄目でも打ち込まれたスパイクピンはまだ生きています。次に作る時にピン抜き工具で抜いて再利用します。実は昔のスパイクピンの方がタングステン純度が高いためか耐久性があります。 
 タイヤ交換の時は通常コンプレッサーで空気を入れますが、間違って林道などでパンクした時には、携帯用の手押しポンプで2000回ほどシュポシュポ空気を入れなければなりません。そんな時の為に緊急用の炭酸ガスボンベも装備していますが、もったいなくて使えずに10年以上連れてあるいています。そろそろボンベの寿命が気になり始めています。(笑)
「124567890」の目次に戻る
下の写真をクリックしても戻ります