71)旭川バーサーロペットジャパン2008
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 初代スエーデン国王、グスタフバーサー王の気持ちになったつもりの一本杖スキーですが、前大会から、クロスカントリースキー競技部門は土曜日に開催、歩くスキー部門は翌日の日曜日に開催と、日にちをずらして開催されるようになっています。そのため仮装して出場する人は日曜のみという事になり、土曜日はまじめにクロスカントリー競技に取り組む人だけになってしまいました。昨年の大会は久々の身体の故障のため参加できませんでしたので一年振りの参加になりました。そして弱気にも仮装無しで普通の格好での参加になりました。 
第28回バーサーロペットジャパン
2008年3月8日(土)〜9日(日)
旭川競馬場スタート・ゴール
競技種目・参加資格
クロスカントリー(スキーマラソン)
種目 参加資格 距離 参加者数
一般男子 16歳以上
(高校生を含み年齢上限はありません)
45km 162名
30km 101名
15km 208名
一般女子 30km 12名
15km 31名
シニア男子 60歳以上 15km 73名
5km 48名
シニア女子 50歳以上 5km 18名
中学生 男子 10km 22名
女子 5km 14名
小学生
(4年生以上)
男子 5km 25名
女子 5km 10名
歩くスキー
ミニロペット 幼児・小学生(3年生以下) 445名
歩くスキー 年齢制限無し 5km 1123名
10km 641名
15km 152名
スプリントリレー
スプリントリレー 一般の部(16歳以上) 1.3km/2・2名 20名
中学生の部 1.3km/2・2名 6名
小学生の部 1.3km/4・4名
男女混成可
12名
コース距離と高低差
コースの
長さ
標高 標高差 合計登高
スタート フィニッシュ 最高 最低
5km 197m 197m 209.7m 179m 30.7m 69.1m
10km 197m 197m 245.1m 179m 66.1m 176.5m
15km 197m 197m 257m 153.3m 103.7m 311.0m
30km 197m 197m 257m 153.3m 103.7m 622.0m
45km 197m 197m 257m 153.3m 103.7m 933.2m
競技方法等
走法はフリーテクニック、但し、スタート後の50mはスケーティングを禁止します
一般男子45km参加者で、3周目30km地点通過時刻13:30、第2関門通過時刻15:00を過ぎた方は、タイムオーバーとなり競技が続行できません。
一般女子30km参加者で、2周目第2関門通過時刻15:00を過ぎた方は、タイムオーバーとなり競技が続行できません。
全種目ゴール閉鎖時間は15:30です。ゴール閉鎖後に到着した方はタイムオーバーとなり、記録は計測されません。
用具をお持ちでない方には、スキー一式をお貸しします。お問い合わせは組織委員会事務局まで
会場内では、ドリンクや豚汁、じゃがバターなどを無料サービスしています。

総参加者 3123名  パンフレットから抜粋
 
 今回のコース設定は15kmコース3周回で45kmというとてもわかりやすい周回コースです。過去にはコース途中の山中で周回コースを5周回周るという時がありました。なんとなく判らなくなりそうだったので、周回コース上にある給食所で給水する時に紙コップごと貰って少し離れた所に順番に並べて数を数えていました。これなら確実だと安心しきって周回を重ねるうち、いよいよあと一周の時に紙コップが全部片付けられていました。・・・あと一周だったはずだけど確信がもてません?仕方なくさらにもう一周回してからゴールしました。結果は6回周ってました。一回おまけです。しかしこの時会社の仲間は1周回不足で失格になっていました。(笑)
大き鍋に湯を沸かして大量のジャガイモを放り込んでゆでている写真
1)
 会場の片隅で参加者に振舞われる「じゃがバター」の仕込みをしています。ほかにも豚汁やドリンクがサービスで提供されます。
競馬場内に設営された沢山の歩くスキーが並んでいる貸しスキー受付所の写真
2)
 無料でスキー道具を貸りて参加する事も出来ます。 以前は歩くスキー部門の出場者に貸し出されていた道具ですが、歩くスキーが競技部門の翌日に開催される事になったので、これを借りてスキーマラソンに出場する事ができるようになりました。事前に予約して借りる手続きをするそうです。大会当日の朝に聞いてみた所、今日はぜんぜん借りる人がいないので、貸し出せますとの話でした。

 スキーは普通の歩くスキーという分類ですが、スケーティングも成せば成るワックスタイプのスキーです。
会場の片隅に置かれているオーストリアのスキーメーカーフィッシャーのスケーティング競技用のスキー板とノルウェーのクロスカントリースキーメーカーSWIXの軽量ストックの写真
3)
 スキーマラソンに参加する場合は一般的にはこの写真のような競技用に作られた専用の道具を使います。もし本格的なスキーマラソン用の用具を一式揃えると、7〜8万円程度の出費は覚悟しなくてはなりません。

 オリンピック選手と同じ道具を揃えるとしたら15万円スタートくらいで、ウェアーやワックスやメンテナンス用具まで全てを含めると30万円スタートくらいで上限はありません(笑) とりあえず特売のスキーマラソン用の道具で揃えたとしたら5〜6万円で揃う場合もあります。

 しかし3万円以下の歩くスキーの道具でもスキーマラソンはには出場できます。そして努力次第で完走できると思います。以前販売店に勤めていた頃には訳あり品寄せ集めの「貧乏学生スペシャル19800円セット」を組んで大会に送り出した事もありました(笑)
大会出場前のスキーマーキングを受けている写真
4)
 FISの競技規定にのっとってスタート前にスキーマーキングをします。競技に使用するスキーに目印のシールを張り付けマジックで封印をします。

 これは検査をパスした道具である事の証明であると同時に競技途中で使用スキーの交換を防ぐ目的で行われます。競技途中でスキー板を交換するメリットがあるの?と思うでしょうが、たとえば、朝のスタート時点では低温の硬い雪質でよく滑るようなワックスを使ったスキー板で出走して、太陽が高くなり気温が上がってきたら、あらかじめ誰かに用意してもらった暖温のやわらかい雪質でよく滑るワックスを使ったスキー板に交換するなどの不正が行われるのを防ぎます。

 この写真の道具は赤いスキーがスケーティング用スキーの最上級モデルで、短めのグレーのスキーが、クラシカル用の滑走面に歩くための刻みが入った歩くスキーです。ストックに使ってる木の棒はカヌー職人のオーダーメイドの中空バーサー王スペシャルです。
バーサーロペットジャパン2008スタートラインに並ぶ選手の写真
5)
 スタート直前の風景です。スタートラインに並ぶ選手の前後にはそれぞれに二本の溝が刻まれています。これはスタート時の混乱を防ぐ目的で、スタート直後のスケーティング走法を禁止する目的でつけられています。

 スケーティング走法は左右に手足を振り出して走るので、スタート時の整列状態からいきなりスケーティングを始めると周りの選手と絡んで転倒してしまう危険が高いのです。そこでスタートから50mの間はスケーティング禁止になっています。
スケーティング走法で広い競馬場を走る選手の写真
6)
 スタートは競技種目別(45km・30km・15km・10km・5km)に整列した、上は82歳から下は9歳までの720名の選手が9:30に同時スタートします。

 写真は競馬場の正面直線をスタートしてコーナーを抜けてバックストレートに入った所です。このあたりになると、ある程度選手がばらけてくるので写真を撮れる状態になります。しかしスタート直後には目前で10人程が絡む大きな転倒が発生していました。知り合いの女子がそれに巻き込まれていたようで、誰かに絡まって転んで散々踏まれていたそうな(笑)それでも表彰台をゲット出来たとか・・・
厩舎の横に作られた広い直線コースを気持ちよく走る選手の写真
7)
 競馬場を一周してから厩舎の横を通って郊外に続くコースに出て行きます。

 競馬場を1周終わる頃には既に選手はばらけていてのびのびと走る事ができます。
選手がまばらに走っているスタートから3km地点のゆるい登りコースの写真
8)
 クロスカントリースキーには二種類の走法があります。 人が歩いたり走ったりする時のような前後の自然な手足の動きで進むクラシカル走法と、

 氷の上でスケートをする時のように上から見て逆八の字になるように足を開いて左右に体重移動して滑走するスケーティング走法があります。

 圧雪車で整備されたコースが必要なスケーティング走法に比べ、クラシカル走法は肩幅の二本の溝があればいいだけです。長距離を走る場合、スケーティングの方が楽なので、ほとんどの参加者はスケーティング走法です。
第一給食所で撮ってもらったステファンノレーンスェーデン大使との2ショット写真
9)
 本国スェーデンのバーサーロペットはクラシカル走法のみで90km走ります。そもそも楽をするために走るのではなく、建国当時のバーサー王のチャレンジングスピリッツにあやかろうと、同じコースを同じ道具で走るようです。

 スェーデンでは「バーサーロペットを走らないとスェーデン人男子として認めてもらえない」などという冗談とも本気ともとれる話があるそうです。

 写真を撮りながら走っていると、クラシカル走法の外国人の方と出会いました。もともと海外の選手はクラシカル走法の方が多いのですが、今回のコースにはクラシカルのコースが切られていませんでした。

 そんな中走りにくそうに一生懸命走っているそのお方はなんとスェーデン大使様でした!それはそれはとお供をさせていただきました。気さくな方で給食所で快く一緒に写真に納まってくださいました。決して高級品というわけではない道具でキツイ競技コースに挑み、一生懸命走る姿にチャレンジャー精神を垣間見ました。1周回目15kmのゴールでお別れした際に声援をいただきありがとうございました。御蔭様で3周回45km完走することができました。
14:38:18を示すゴール地点の時計と並んで撮影している写真
10)
 ゴール閉鎖時間の15時30分に約1時間の余裕をもってゴールできました。しかし既に前後に選手は居ません。スキーマラソンを始めてから初の最終ランナーを経験しました。

 以前に用具を販売していた時に最終ランナーになった人の話は聞いた事がありました。それは後走のスノーモビルに追い立てられたのが辛くもう大会には出ないという内容でした。今回その時の話の意味が解りました。

 最終ランナーと決定したであろう3週回目の後半に最後尾を走る後走スノーモビルがスタートします。山中のコースではランナーに気を使ってか時折エンジンを止めて遠く距離を置いて後走してくれていましたが、ゴールの競馬場に近づくと、後ろ十数メートルの所を連続して伴走するような形で後走しはじめました。

 スノーモビルはエンジンの構造上静かにゆっくり走る事が難しく、断続的にアクセルを開け閉めして少しづつ進むのですが、それがあたかも後ろから激しく煽られ、追い立てられているように感じるのです。特に力を使い果たし疲れ切ったランナーにとっては辛く感じるのです。

 自分もバイクでマラソンの伴走をした事がありますが、ゴールは近いぞ頑張って!の思いで伴走していたとしても、この場合は受け取り手としては追い立てられられているように感じてしまうという、発する側と受ける側の大きなすれ違いが起きることが解りました。
〜 〜 〜
 バーサーロペットジャパンは数ある市民クロスカントリースキー大会の中でも指折りのキツイコースで有名なのですが、厳しい故にチャレンジする人が多かったはずですが、近年参加者が減ってきています。とりわけ完走ギリギリのチャレンジャーが減っています。まだゴール閉鎖時間まで1時間近くの残して既にランナーが一人も居ません。せっかく準備されたコースに万全のサポート体制が1時間分も無駄になってしまっています。しかもいろんなドラマが起こる一番脂っこい時間帯が使われずにいるのは実にもったいない事です。

 今回のスタートの時も、スタート間際になって明らかに初心者の学生のグループが引率らしき先生に連れられてあわただしくスタート地点に並んでいたのを見ていましたが、そのようなチャレンジャーが減っています。

 変な理屈ですが、挫折する悔しさと成功する喜びはセットになっていて、少なくとも若いうちは金を払ってでも挫折の悔しさを買っておいたほうがいいと思います。実生活においての挫折となると簡単には思いつきませんが、市民スキーマラソンは挫折と成功がとてもはっきりとした解り易い教材です。たかだか3000円で買える挫折としては栄養も豊富で、全身力尽きての挫折はボリューム満点です。

 しかも、体力があれば完走出来るという単純なものでも無い所がスキーマラソンの肝の部分です。まずは道具を使いこなせないと完走できません。スキーをコントロールする技術が無いと下り坂で転んでしまいます。ひどく転んで道具を壊すと完走できません。技術を身に付けるためには習うか独学で練習するか、いずれにせよ本人の具体的な努力が無いと克服できないのが面白い部分です。

 学生に限らず、たまには自分自身に未経験の試練を与えて見るのも面白いものです。そんなささやかなチャレンジをしてみて、もし一回目で成功したらそれは大万歳!でも失敗しても実害はありません
結果がどっちにしても風呂上りのビールが格別に旨くなるだけです。
ただ、後者は旨いビールの後味がちょっぴり苦いだけです。

 まちがってこの文章を見てしまった人は考えてみて下さい。たまには旨いビールを飲みましょう! 
スキーマラソン20年目の勝手な希望
 バーサーロペットジャパンに思う事・・・

 昨シーズンよりバーサーロペットジャパンはクロスカントリー競技スキーと歩くスキーを分離して二日間にわたって開催されるようになりました。そのためコースの混雑が緩和されて初心者の参加を促しやすくなりました。

 また、いままで歩くスキー参加者に貸し出されていた貸しスキーが、開催日程がずれる事で、競技初心者や初参加者に貸し出すような使い方が可能になりました。それは高校や大学の運動部のグループ等の体力はあるが道具を揃える予算が無いといった全く新たな参加者を募る可能性が出てきました。

 15Kmの周回コースを採用した事も好材料です。以前より周回コースを使うことはあったもののコース途中に設けられた周回コースを5周回もまわる事もあった過去を考えると、15Kmという区切りにして周回数で距離分けをする設定はとても合理的です。また、コース的にも以前のような極端に危険な場所は無く、景観も楽しめる良いコースに落ち着いています。
コースの周回数管理も以前のような100人表といった手書きのメモによるチェックから、トルソータグという発信装置を使ったコンピューター管理になっています。

 競技日程を春分の日から約二週間繰り上げた事で今後予測される温暖化による雪不足に備えて必要な変更が行われています。

 他の大会のような河川への転落の危険や吹きさらしの橋梁の通過などのコース上の危険箇所が少なく、競馬場という一度に多数の人々が集うのに適した場所を中心に競技を開催しており、急な天候の悪化などの事態にも対応しやすい環境が整っています。


 以上の事項を元に勝手な希望を展開すると・・・


 従来の現競技種目の15Kmコース一周15Km、2週回30Km、3周回で45Kmという三つの種目を、発展させて、4周回60Km、5周回75Km、6周回90Kmを加えて、全6種目とし、バーサーロペットジャパンを、本国スェーデンのバーサーロペット90Kmに順ずる大会にする。そうして日本最長のクロスカントリースキー競技にして本国バーサーロペットを超えるハードなクロスカントリー大会に成長させる。

 根本的な部分としてバーサーロペットは、スェーデン建国の礎となったバーサー王の困難に立ち向かう不屈の闘志を現代に伝える為に、昔ながらのクラシカルテクニックのスキーで90Km走破に挑む国を挙げてのお祭りである事を考えると、バーサーロペットジャパンも困難に挑戦するお祭りとしてのさらなる進化を期待します。

 湧別100Kmスキーマラソンが50Kmに短縮されてしまった今となっては、最長の困難にチャレンジする機会が失われてしまった感があります。夏に道路を走る普通のマラソンの世界では「サロマ湖100kmウルトラマラソン」等を目標にしている人も多いと聞きます。冬のクロスカントリースキーの世界にも、最終目標にふさわしい最長最大の距離競技が必要だと思います。

 それは他者と競い合う純粋な競技の部分と、他者に関わらず自分自身と戦う競技の部分と、他者と励ましあって皆で完走を目指す競技の部分など、様々な成分が内在する日本で一番大きな大会が望まれています。

 具体的には毎年様子を見ながら1周回ずつ徐々に新たな距離区分を増設していき、問題点を解決しつつ実態を見ながら何年かかけて最長距離を設定する。
特段90Kmにこだわらず、75Kmでも、60Kmでも、あるいは105Kmでも、新たな距離区分を作りチャレンジャーを募集する。

 全区分共に最終ゴール閉鎖時間と最終周回関門通過時間を設定してタイムオーバーをコントロールして、それぞれの距離区分の選手が共通タイムアウトの時間ギリギリまで真剣な走りを展開するようになり、競馬場の観客は最後までレースを楽しめるようになる。


                   等々・・・20年目の勝手な希望です。
  
バーサーロペット帰り道のおまけ
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