六日目 / 十五

日和佐で稲刈り 夜徳島市阿波踊り最終日
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8月15日
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1)
 げんさんがこまの綱渡りを披露してくれました。 これは江戸時代から伝わるという曲芸こまの一種です。
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2)
 たいこの上で軸の上方を両手で挟んで摺り合わせるようにして直接手で回します。それは竹とんぼを飛ばす動作に似ています。

 動作を繰り返して徐々に加速させて十分に回転速度が上がって安定した所で、ピンと張った釣り糸を軸に絡ませると、こまが釣り糸を手繰りながら上手に綱渡りを始めます。釣り糸が見えにくいので、まるでこまが空中を漂っているように見えます。

 綱渡りの出発点から終了点まで緩やかな傾斜になるように糸を張ると、こまは自分の位置エネルギーを回転力に変えて進み続けます。まるで位置エネルギーで滑空するグライダーのように終了点に舞い降ります。
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3)
 こまは回転バランスと中心軸の精度が大切です。曲芸こまの場合はとてもシビアに中心軸の精度が要求されます。 もし硬い所に落としたりしてちょっとでも軸がぶれてしまうと、もう使い物になりません。それは綱渡りの出来ない普通のこまになってしまいます。 
こまの命は中心軸です
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4)
 今日は朝から稲刈り作業を手伝います。まずは基本の手鎌で刈り取りします。
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5)
 田んぼの角の部分はあらかじめ手で刈り取って稲刈り機械が旋回出来る余地を作っておく必要があります。
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6)
 この稲刈りマシンは「刈り取り」と「脱穀」という二つの作業を同時に行うのでコンバインというらしい。 マシン先端の刈り取り部分で刈り取られた稲穂は、ベルトコンベア式に車体中央部の脱穀部で脱穀分離されて、穀粒が上部タンクに貯蔵され、ワラ屑は刻まれて外に排出されます。

 上部タンクに貯蔵された穀粒は、自由落下式に下に取り付けられた専用袋に溜まっていきます。穀袋(籾袋もみぶくろ)が一杯になったら袋のジッパーを閉じて取り外し、田んぼの端に降ろします。替えの空袋を取り付けて刈り取りを再開します。

 籾の一杯詰まった籾袋は30kg以上の重さがあります。それを担いであぜ道を歩き、トラックに積み込み納屋まで運んで、袋のジッパーを開いて大型乾燥機に投入します。あとは乾燥機の設定通りに一定の水分量になるまで自動的に乾燥されます。

 実際にやってみると籾袋を運ぶ作業は腰に堪える重労働です。小規模農家の高齢化が深刻な理由が少しわかりました。とくに機械の入り込めない狭く小さな棚田をたくさんかかえる農家ではその労力の大きさが想像されます。

 機械化が進んだ現代の農作業でさえ、一部重労働に感じるくらいですから、かつて全て手作業で行っていた農業は全部が重労働だったのでしょう。

 そんな厳しい農作業に明け暮れる日々の中で、唯一祭りの時だけはそれを忘れ開放する。普段の暮らしが厳しければ厳しい程、祭りの時は「はじける」「激しくはじける」そういう風習が残っているのではないかと想像します。
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7)
 一日の農作業が終わったら急いでシャワーを浴びて、阿波踊りを観戦に徳島市内に向けてバイクを走らせます。 汽車に乗って楽に行く手もありますが、バイクを操る楽しさは単なる楽に替えがたい。

  「四国の道」と称される、田んぼや民家を縫うように繋ぐ細道を静かに通り抜け、たまに自動販売機が点在する暗がりの農道を通り、車もまばらな幹線道路を急ぎ、街路灯が眩しい四車線道路を加速して徳島城下に突入する。既に城下には祭りの鼓動が満ち溢れ波動となって人々を吸い寄せる。その中心に向かってバイクを走らせる。
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8)
 徳島市内の中心部メインストリートを数百メートルに渡って道路閉鎖して作られた演舞場に、連と呼ばれる踊り手と楽団で構成される阿波踊り演舞集団が踊り込んでくる。

 楽団の奏でる和楽器は心地よい旋律を持った美しい轟音となって、演舞場に踊り手を押し込んでくる。繊細な中に力強さを秘めた女踊り、激しい中に美学を秘めた男踊り、演技力とバランス勝負のやっこ踊り、

 それぞれの世界が目の前に踊り込んでくる。
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9)
楽団の威力は凄まじく、1000人の泣く子を消し倒せる圧倒的な威力がある。
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10)
日本的な美しさが伝わってくる息の合った踊り
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11)
 新町川河畔公園の演舞場、ここは各連が入れ替わりで特設のステージ上で演舞します。・・・
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12)
 演舞場に限らずに、路上の至る所で突然演舞が始まる所が面白い。
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13)
楽団が作り出す音の輪の中で激しい演舞がはじけます。
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14)
 阿波踊りの原点といわれる輪踊りを行う連です。

 この連は楽団のみで構成されているようで、踊り手は通りすがりの観客です。

 ここでは楽器や音声に電気的増幅をかけていて、男性ヴォーカルのアレンジや女性ヴォーカルの阿波おどりの囃子「よしこの節」が聞けたりと、楽器とボーカルと踊り手が織り成すある種の路上ライブ状態になっています。

 メンバー紹介などトークもあり、落し物の照会まで飛び出すアドリブの利いたヴォーカルです。四本並んだ「新町橋よいよい囃子」のぼりの横にスピーカーが設置してあります。

 伝統を追い求める方向と、原点を追い求める方向、それぞれ微妙に角度は違うけれど、格式と柔軟性を持って未来へ続けて行く。 阿波踊りの本質は奥が深そうです。
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15)
 お囃子が始まると、誰彼構わずどんどん人が集って踊りの輪に加わっていきます。 それは大きな渦になって、ごちゃ混ぜ状態で回転していきます。そこにジェームスブラウンやボブマリーも顔を出す?規則性をもった何でも有り状態。
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16)
 「手を挙げて〜 そろりそろりと、足を運べば阿波踊り〜 止まらずに〜 大きく大きく、円を描いて踊ってね〜」
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17)
「踊るあほうに見るあほう、こっちは写真を撮るあほう、そっちはビデオを撮るあほう、同じあほなら踊らにゃ損!損!」(損!損!の部分で一同飛び上がって斉唱) ・・・
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18)
 本日阿波踊り最終日、22時30の終了時間になると、交通規制されていた会場の照明が徐々に消されていきます。 それでも最後の最後まで盛り上がっています。 そしてついに全ての照明が消された瞬間、暗闇の中で「また来年会いましょう!」と最後の一本締めで終了します。
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19)
 終了と同時に交通規制解除に向けて警官連が踊り込む!(笑)。笛を吹きながら車道に溢れる人々を端から歩道の上に移動させていきます。
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20)
 最後尾は楽団ならぬパトカーが安全を確認して交通規制解除、車の往来が始まり徳島は日常に戻ります。
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