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1-1)おまけの東北ツーリング
 漠然と天童市に向かっていました。ずっと同じ事を考え続けていた。一緒に酒を酌み交わしても良かったんじゃないか?、そんなに重く捉える事じゃないだろう、実際じっくり飲みたかったし、もっと話がしたかった。昨夕合流して、たった一日で10年分の話をしたような気がしていた。

 思えば澤本さんはマラソン前から願掛けの禁酒をしていたので、酒を酌み交わした事が無かった。日本一周中には周る先々で「澤本さんに」と差し入れられた数々の銘酒は全て本人の口には一滴も入らずに我々宴会要員スタッフ3名(佐藤・伊藤・阿部)の身体に全て吸い込まれたものだ、そうして本人には空き瓶を差し出して匂いだけ楽しみながらスケッチさせていたという、なんとも残酷な有様だった。

 そしてついに札幌にゴールした夜の式典で禁酒を解いて、長靴の形をしたジョッキで嬉しそうにビールで乾杯していた澤本さん・・・それぐらいしか酒を飲んでいる姿の記憶が無いのだ、さらにその後にすぐ理由を告げない新たな禁酒に入ってしまって、機会があっても澤本さんは1人でウーロン茶を飲んでいた。

 ほんとうに今夜はじっくりとさしで飲みたかった。それを自ら棒に振ったのだ、何度考えても最後まで許可を出さなかった。

雨が上がる頃には気持ちも少し晴れてきた。
 
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