24)支笏湖一周カヌーツーリング2002(後編)
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2002/5/24〜25
 動かない山々に囲まれた、深く澄んだ湖は、光と風と雲によって刻々と表情を変えていきました。 人々が知る以前より延々と続いている自然の営みを湖の上からゆっくり見ていきます。
湖畔から望む朝日を浴びる風不死岳と樽前山の写真
1)
 おだやかなキャンプの朝、朝焼けに染まる樽前山(たるまえざん)です。津波の心配が無いので湖水近くにテントを張り、時折小さく打ち寄せる小波の音を肴に支笏湖の夜を飲み明かしました。
カヌーの上から見た頭を雲に隠された恵庭岳の写真
2)
 キャンプ場を出発した直後、正面の恵庭岳(えにわたけ)山頂部には雲がかかっています。このあたりは流入河川の関係で生き物の気配が濃い場所です。川から栄養分が流れ込み小さな昆虫がいて小魚がいてそれを狙う大きな魚や鳥達がいるといった構図です。
雲が晴れつつある湖上の恵庭岳の写真
3)
 山頂部には傘雲が残っているものの、湖に徐々に晴れ間が広がっていきます。防水のドライスーツを着ている身としては涼しいほうが嬉しいのですが、天気は良く視界は利くほうがいいというわがままを言いつつ漕いでいきます。
太陽が高くなり輝き始めた支笏湖湖面に光があふれている写真
4)
 太陽が徐々に高さを増し湖面が輝き出します。食料やビールやクーラーボックスの氷等、少なくとも5Kgは減っているはずですが、山旅や自転車の旅と違って多少の重量が減っても進行速度になんら影響がありません。

 途中で買い出しが出来ないと思うと勢い買い物の量が増えてしまいます。結局口を切らなかったバーボンウイスキーや沢山のつまみ達を連れて支笏湖一周の旅は続きます。
さざなみが収まり湖面の周囲の森が映り込んでいる写真
5)
風が弱まり、湖面の表情が変わっていきます。 
湖畔の深い森の中にひっそり注ぐ河口の写真
6)
 オコタン川の河口です。支笏湖の透明度の高さが見えます。このあたりはかなりの数の釣り人が刺さっていて、小さな岬を回る度に釣り糸を垂れる姿がみられました。

 それらを迂回するように岬を大回りして通過していきますが、大きな魚達も釣り人を避けるように分布しているのがとても面白い事でした。
澄んだ湖水を突き抜けて湖底に写るカヌーの全身影絵の写真
7)
 湖底にカヌーの陰が映ります。湖畔の断崖絶壁を通過中していると、まるで中に浮いているような錯覚にとらわれます。
 透明度が高すぎて、「湖底に吸い込まれそう」・・という表現よりも、「崖下に落ちそう」といういうような、非現実的な「恐怖感」があります。支笏湖は透明度が20m近くあるので太陽の光が差し込むと相当深い所を泳ぐ魚まで丸見えでした。
湖畔ぎりぎりまで木々に覆われている原始の湖を進むカヌーの写真
8)
 かつての高級リゾート地だった「オコタン」です。レジャーボートが並んでいる所が当時の名残です。当時は陸路が無く、訪れるには千歳より鉄道にて湖畔まで出て対岸より専用船でのみ行く事ができる特別な場所だったといいます。森の中を探検すると当時を伺える痕跡を発見する事が出来ます。
深い森の岬を抜けていくカヌーの写真
9)
いよいよ静寂の瞬間がやってきました。
風が止み鏡のようになった湖面に吸い込まれていく山と雲の写真
10)
音も無く、湖に空が溶けていきます。正面は風不死岳です。
澄んだ湖水を通して湖底に浮かぶように進むカヌーの写真
11)
 森の木々が湖面に迫ります。このあたりは浅瀬になっていて魚影が濃いです。しかし人のふとももみたいに太い大きな魚達は釣り人の刺さり込めない断崖のほうでゆったりと泳いでいました。

 静かにカヌーを漕いでいると水中を優雅に泳ぐ美しい魚達の姿が良く見えます。大きな魚の泳ぐすぐ近くであさっての方向に竿を振っている釣り人を見つけると、「よしよしそのままあさっての方に竿を出してなさい」と心で魚の無事を祈ってしまいます。
急速に雲に覆われていく湖の写真
12)
 急に曇って雨がパラついてきました。湖中央部に舳先を向けて湖面を撮影します。風不死岳(フップシたけ)の遠景です。
覆われた雲から激しく雨が叩きつけている湖面とカヌーの写真
13)
 恵庭岳を越えてくる濃い雨雲から静寂を打ち破る激しい雨が叩きつけました。

 このように激しい雨に降られるとカヌーの中に雨水が溜まってしまいます。そういう少ない浸水はスポンジを使って吸わせて船の外に排水します。もし転覆して自力復旧した場合などの大きな浸水の時は排水専用の手押しポンプを使って水を船外に排水します。
観光客で賑わう遊覧船乗り場の写真
14)
 支笏湖温泉街の桟橋の風景です。支笏湖の水はこの先の千歳川より注ぎ出ます。ここは古くからの支笏湖の観光拠点です。このあたりは動力船の往来が激しく、エンジン音があたりを占領しています。
すっかり雲が消え強い日差しに乾きつつあるカヌーの写真
15)
 あと一つ岬を越えるとゴール地点です。遠くに見えるのは、右に風不死岳(フップシたけ)左に樽前山(たるまえざん)です。樽前山はお皿にプリンを乗せたような形をしていると言われますが、ここから見るとほんとうにそのように見えます。
湖畔で開催されているカヌー教室の写真
16)
 出発地点のモーラップキャンプ場に戻ってきました。 湖畔でカヌースクールをしています。

 カヤックと呼ばれるカヌーを練習しています。それは主に川を下って遊ぶ一人乗りのカヌーです。オープンデッキのカヌーにたいしてクローズドデッキのカヤックは、風や波に強く、もしひっくり返っても、簡単に起き上がる事が出来ます。それはエスキモーロールという技術で、若干のこつが入ります。

 もともとカヤックは北方民族の狩りの道具から進化したものなです。網走市の北方民族博物館に行くとそのルーツがよく解ります。
スタート地点に戻ってほっとしているカヌーの写真
 一泊二日支笏湖一周カヌーの旅の終了です。 後方は恵庭岳(えにわたけ)です。

次回予告は洞爺湖(とうやこ)です。
・・・・・・・・・・おまけ
 
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24)支笏湖一周カヌーツーリング(後編)

23)支笏湖一周カヌーツーリング(前編)
関連ページ
25)洞爺湖一周カヌーツーリング
27)屈斜路湖一周カヌーツーリング
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