15) リハーサルその二
 二回目のリハーサルです。
 五月中旬に四日間の日程で行なった二回目のテスト走行は、1回目のリハーサルからわかった事を考察して挑んだ、一歩踏み込んだ濃い内容を持つリハーサルです。

 一日目)ランナー自宅より、R5号を通り小樽・余市・倶知安・を経由してニセコ町まで、一日で100Km強の距離を走りきる長距離走破テスト、

 二日目)は道道66号線ニセコパノラマラインを通りニセコ連山を越す標高850m地点の分水嶺を通過する峠越えを含む神恵内村までの60Km強の山岳走破テスト、

 三日目)はR229を通に日本海側の海岸線を行くトンネルと狭い道の連続する積丹半島を一周する60Km強の海岸沿いコーステスト、

 四日目)はR229からR5号へ走り継ぎ余市町・小樽市を経由し、観光地の混雑を通過してランナーの自宅まで戻る50Km弱の海岸沿い複合コース。

 2度目のリハーサルにふさわしく、いきなり100Kmを越える長距離テストから始まって、標高850m地点を通過する峠越え、そしてトンネルの連続する狭い海岸線の走行テストと、人ごみの観光地の通過テストといった内容の濃いテスト走行となりました。
一日目 1999年5月18日(火) 札幌〜ニセコ 119.2km
 1.1)一日目)100Kmを越える距離を走行すると、やはり予定よりも時間がかかり、終了地点の宿に到着したのは夜の9時近くになってしまいました。夕方以降の暗い中での走行は溜まった疲労と視界が利かないせいもあり、走行ペースが落ちるという事と、路肩の段差や切れ目など、危険な部分を認識しずらくなる事がペースを落としている一要因になっている事が判り、


 伴走バイクは明るいライトでランナーの足元を照らし、転倒の危険を軽減する役目が重要で、さらに後方から接近し抜き去っていく車両に存在をアピールし後方の安全を確保するという役目を担い、疲労がピークに達しているランナーの精神的負担を軽減し走る事に集中できるようにバックアップしていく事が重要である。という事が認識されました。


 1.11)今回は伴走バイクに、250ccの大型スクーターを使用しましたが、アイドリング付近での低速連続走行を一日一杯続ける事によって、充電が間に合わずにバッテリーの消耗が見られ、夜間走行に入った時点で、ヘッドライトと、ウインカーとブレーキランプを同時に使った状態では顕著な電圧低下があり、灯火類全ての照度低下が見られました。


 1.12)夜間になってからの正確な道案内も重要で、見通しが利かなくなってくると、迷う必要の無いところで道が判らなくなるといった無用のトラブルを招きやすく、また、少しでも距離が離れてしまうと暗闇の中でライトしか見えない状態では、ランナーからは伴走車両と、一般車両の見分けがつかなくなるという問題も判りました。
二日目 5月19日(水) ニセコ〜神恵内 63.2km
 
マシントラブル発生!
 2.1)二日目)山岳縦断パノラマ観光道路の走行では、当然の事ながら登り急斜面では極端にランナーの走行速度が落ちるといった事が具体的に判りました。五パーセント程度の勾配での走行速度は平均約4〜5km毎時程度の速度になります。


 2.11)伴走バイクにはスクーターを使いましたので、低速走行では冷却風が当たらずに常にオーバーヒート状態で進んでいきましたが、勾配が急になるにしたがっていよいよ機械的な限界が近づく兆候が見え、走行と停止を来り返しながら、休ませ休ませ進み伴走していましたが、峠も後少しという所で、遂に力尽きてしまいました。


 クラッチ構造部が熱で解けてしまい走行不能になってしまいました。そのときの外気温摂氏4度での出来事でした。一度目のリハーサルの経験上、そもそもスクーターでは無理では?との意見でしたが、ものはためしと試みた結果です。


 2.12)走行不能のスクーターを近くの温泉宿に預けて、その後は車だけでのサポートになりました。
三日目 4月20日(木) 神恵内〜古平 58.7km
 3.1)三日目)トンネルだらけの狭く険しい海岸線の道路を車一台でサポートしていく事になりましたが、狭い海岸線の道路に都合よく駐車できるスペースを探すのは非常に難しいものがありました。、

 また、視界の利かないカーブの途中などに駐停車させるような事をするならば、それは追突事故を誘発する行為にほかなりません。おのずと給水可能な場所は限られてしまい、ランナーのペースに合わせた給水は出来なくなりました。

 また、トンネル内部を走行する時には、自転車用の点滅テールライトを腰と帽子の後ろにつけてランナーは走りますが、後続車に対してのアピール度を考えたなら、もう少し強力な光を発する道具を使ったほうが良いように思えました。
四日目 4月21日(金) 古平〜札幌 72.6km
 4.1)四日目)観光地の人ごみの中を通過していく場合には、信号などのタイミングによっては簡単にランナーを見失う事が起こりやすいので、あらかじめそういう場合の「落ち合い場所」のような事を打ち合わせしておく必要を感じました。
5)2回目リハーサル全体を通して
 5.1)伴走バイクは何事にも余裕のあるバイクを使用する事が望ましく、壊れてしまうなど機械的なトラブルを招くとその後マラソンの進行に重要な支障をきたすという事がわかりました。

 5.2)伴走車両のみでサポートして行く事は不可能であるという結論です。

 5.3)ランナーにもある程度のコースは把握していてもらわないといざという時に大変困る。

 5.4)山岳地帯を越える時には、登りに極端にスピードが落ちる分、下る時にかなりスピードが増す事で全体としては、予測ほど移動速度が落ちていない事がわかりました。

 5.5)狭いトンネルを走行するにはかなりな危険を伴うという事と、先が見えないような長いトンネルの場合は、歩道の有無等事前に中の様子を偵察に走って、安全な通過方法を考えた上でトンネル内に入ることが大切である。

 5.6)伴走バイクには、明るいライトと目立つ看板が必要であるとの結論に達する。
 
エンジン焼損の対価として熱対策の重要性を認識したリハーサルでした。
サポートディレクター個人所有の大切なスクーターが壊れてしまいました・・・・(泣)
=== 15) リハーサルその二 ===
16)リハーサル其の三
14) リハーサルその一
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