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4-3)蝦夷羆の話
 討伐隊として手を上げたのは二名の道外ハンターでした。慎重に歩みを進めるうちに沢地の小川に差し掛かった所で、一人のハンターが「いたぞ!」と声を上げました
 羆は声を上げたハンターに向けて十数メートルの距離をピョンピョンと猫が走るように数歩で一気に飛び掛り小川の上に押し倒すように襲い掛かりました。もう一人のハンターは襲われている人に銃弾が当たらないように地面すれすれに至近距離から羆の心臓めがけてスラグ弾を数発発射しましたが利きません!

 そこで襲われている人が片腕をがっちり噛まれた状態で足で羆の首を蹴り上げるようにして自分の身体から頭を離した所で、横からライフル銃で羆の頭を打ち抜いてようやく仕留めました。襲われた人は命は無事だったものの腕を食い千切られる重症を負ってしいました。

 至近距離から心臓目掛けて発射されたスラグ弾はあばら骨で弾かれて潰れてしまっていたのです。その後取り出された潰れた銃弾の写真がそれなのです。この事件で死者一名、重症一名の大きな人身事故になってしまいました。

 これは事件の翌週にたまたま山間の温泉に行った時に羆を仕留めた本人と出会い話を伺う事が出来ました。(赤い繋ぎの方です)この段階では私はのんきに川で泳いで遊んでいます。
 
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