1234567890 その五 
 壊れるために付いている部品・・・ 
 このバイクに搭載されているエンジンは水平対向型エンジンといいます。それは左右にシリンダーが飛び出した独特の形をしています。そのため転倒すると、真っ先に地面に激突してしまうのがそのシリンダーの頭の部分です。人間もそうですが頭は大切な部分です。バイクのシリンダーヘッドには精密な動弁機構が入っています。それを守っているのがシリンダーヘッドカバーです。さらにそれを守っているのがシリンダーヘッドカバープロテクターです。
傷だらけのシリンダーヘッドカバーの写真
1)
 数え切れないほどの転倒をしていると、シリンダーヘッドカバーはこのように傷だらけになってしまいます。それでも壊れずにしっかりと内部機構を守っています。

 シリンダーヘッドを半分囲むように取り付けられている金属のバーがシリンダーヘッドガード、またはエンジンガードといいます。肉厚の鉄パイプで出来ていて強い衝撃をからエンジンを守ってくれます。
傷だらけのシリンダーヘッドカバーの拡大写真
2)
 シリンダーヘッドカバープロテクターは役目を果たして、ほぼ力尽きています。もしこの状態で激しく転倒してしまうとシリンダーヘッドカバーに直接の衝撃が加わってしまいます。
削れてしまったシリンダーヘッドカバープロテクターの写真
3)
こういう状態で付いています。地面にぶつかる部分はきれいに削れてしまっています。 
削れてしまったシリンダーヘッドプロテクターと使用前のほぼ新品部品の写真
4)
 この部品はクラッシャブル構造といって、激しい衝撃を受けると部品そのものが壊れる事で衝突エネルギーを吸収する構造になっています。守るべきものの為に自ら壊れるよう出来ています。一般的な乗用車のバンパーも歩行者にぶつかった時の事を考えて壊れやすいように作られています。

 使命を全うした部品を外して新しい部品に交換します。新しいといってもこれは一度転んで傷が付いたとかで交換された中古品ですが、まだまだ役目を果たせます。
傷だらけのシリンダーヘッドカバーに装着された新しいシリンダーヘッドカバープロテクターの写真
5)
 激しく転んだ時にシリンダーヘッドカバーが割れたり穴が開いてしまうと、エンジン内部に砂や泥が入る事になってしまいます。それはたとえ微量であってもエンジンにとって致命傷になる可能性があります。

 そうならないように自ら潰れる事で守ってくれる樹脂製のシリンダーヘッドプロテクターと圧倒的な強度で守ってくれる金属製のエンジンガード。二種類の防護を受けるシリンダーヘッド、すべてはバイク本体が寿命を全うできるように考えられた装備です。
でも、なるべく転ばないようにせねば(笑)
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