オロロン鳥(後編) 14) |
「ウトウ」が飛び去った後に、「ウトウ」の雛の亡骸が「オオセグロカモメ」に啄(つい)ばまれていました。 通常「ウトウ」の雛は日が落ちて親鳥が餌を持って帰って来るまで、巣穴の奥でじっと待っていますが、この巣は両親ともに何らかのアクシデントに遭い帰って来なかったのかもしれません。 夜が明けてもついに帰って来なかった親鳥に絶望して空腹に耐えかねて巣穴の外に出てしまったのかもしれません。オオセグロカモメはそんな飢えた雛の叫びが判るのか巣穴の前でじっと待ちかまえていました。 小さな亡骸はつつかれながら力無く斜面を転がり落ちていきます。くたくたと転がる柔らかすぎる雛に嘴(くちばし)がなかなか刺さりません。「オオセグロカモメ」は首の部分を突ついて食い千切ると大口を開けて、目を白黒させながらピンポン玉程の雛の頭を丸呑みにして飛び去っていきました。 そこには頭の無い雛の亡骸がぽつんと取り残されました。 しばらくすると別の「オオセグロカモメ」がやってきて亡骸をつつき始めました。それはこの近くで営巣している番(つがい)の一羽でした。巣には産毛の雛が二羽いて交代で餌を与えています。 小さな亡骸はやがて魚の開きのような状態になっていきました。生きるために食べるという自然の摂理です。「ウトウ」の雛も沢山の小魚の命をもらって大きくなりました。一つの命の終わりが次の命に繋がっていく命のリレーの瞬間です。 |
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