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オロロン鳥(後編) 15)
 眼下の岩ではオロロン鳥が餌を獲っていました。「オロロン鳥」も「ウトウ」も「オオセグロカモメ」も「ケイマフリ」も「ウミネコ」も自然の摂理に従って、この島で命を繋いでいます。

 その後の観察で、岩場で営巣していた三組のオロロン鳥の番(つがい)の雛も全て「オオセグロカモメ」に食べられてしまったようです。それは2009年のオロロン鳥の繁殖数がゼロになったという事です。

 島に数万羽いる「ウトウ」の雛も島に数羽しかいない「オロロン鳥」の雛も「オオセグロカモメ」には区別がありません。本来「オロロン鳥」は狭い岩棚に足の踏み場も無い程の過密な集団で営巣する事で天敵を防いでいました。しかし生息数が減り、集団の防衛力を失ってしまいました。

 かつて数万羽いたオロロン鳥が数羽まで減った原因は主に漁業活動によるものと考えられています。泳ぎの得意なオロロン鳥は海に潜って魚を獲りますが、その時魚と一緒に魚網に掛かってしまうのです。

 本来魚網は小魚を追う大きな魚を捕まえるのが目的で仕掛けられます。その時、小魚は逃がして大きな魚は引っかかる荒い網目の魚網を使って目的の大きな魚だけを捕まえます。しかし、その時に同じ小魚を追いかけて泳いでいる「オロロン鳥」も一緒に捕まえてしまうのです。このように目的の魚以外の生き物を捕まえてしまう事を混獲といいます。

 目的の魚以外の混獲されたものは特に商品価値が無い限りその場で廃棄されてしまいます。数万羽のオロロン鳥もそのような運命を辿ったと考えられています。

 かつて繁殖のためにやって来る鰊(ニシン)を獲り尽くしてしまったように、繁殖のために集ってくるオロロン鳥も混獲によって獲り尽くしてしまったようです。
 
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