105)東日本大震災 復興ボランティア活動 その6 |
![織り機の経糸を上下に分離する部分の写真](600/_0060387.jpg) |
織り機の経糸を通す部分 |
2014年10月16日〜10月23日の日程で岩手県で復興ボランティア活動を行ってきました。
今回は以前いただいていた活動のヒントを基に考え出した「活動のアイデア」を実際に試してみる実験的な活動です。
今回も1999年に社会活動を行う為にホンダさんより寄贈されたアフリカツインに乗って出かけます。 |
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![バックミラーにニジを付けて乗船を待つバイクの写真](600/_0063804.jpg) |
23時59分苫小牧港発八戸行きのフェリーに乗船します |
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昨年の訪問の時に被災者の方に「さおり織り」のミサンガをいただきました。それは仮設住宅の談話室で行われている「さおり織り教室」で作っているものです。
手芸作品を作る事で被災者の方同士の横方向の交流を促進し、販売する事で一般社会と縦方向の繋がりを目指している活動です。
専用の織り機を使って緻密な作品を作るさおり織りでは、まず「織り機」が無いと始まりません。しかし織り機の台数は少なく、思うに任せない実情があり、比較的単純な構造の織り機本体を自作できないだろうか?との問いを受けていました。 |
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![パイプフレームで出来た織り機の写真](600/_0060328.jpg) |
比較的簡単な構造の織り機本体 |
織り機本体はパイプフレームで出来ていて折り畳み構造になっています。織物の経糸を足踏みペダルによって交互上下に分離して横糸を通して挟み込み、強く圧縮して縫い目を造る仕組みになっています。 |
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![織り機の核心部分と作成途中の作品の写真](600/_0060329.jpg) |
着脱式になっている織り機の核心部 |
経糸を分離して横糸を挟み込む折機の核心部分は着脱式になっています。この部分は一度織物を織り始めると、終了するまで外す事ができません。
また、織り機に糸をセットする作業は根気と時間が必要です。器具をテーブルの上に置いて経糸を一本一本間違えないようにセットします。 |
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![やわらかな感じの作品の写真](600/_0060346.jpg) |
さおり織りの作品 |
経糸を分離しているクシの幅がとても狭いために緻密な織物ができます。展開図のように各部品を作りそれらを縫い合わせて作品に仕上げているようです。 |
話を伺うと、織り機のメーカーさんから、採寸して複製を作っても良いとの許諾を得ていたようなので、当初は織り機の核心部分はメーカーの商品を使うとして、パイプフレームや木材の本体部分を作る事を考えていました。
織り機の寸法を計り写真を撮って持ち帰り、安い材料で簡易的な織り機を作るにはどうするか?まず思いついたのは、遠い昔に見た記憶のある北海道開拓時代に使われていた道具達です。
北海道は開拓時代には自給自足を目指して、各農家で麻を栽培し繊維を作り縄を綯ったり布を織ったりしていました。
そこでヒントを得る為に北海道開拓記念館に当時の織り機を調べに出かけました。しかし不運にも開拓記念館は建物の大幅な改造工事の為に1年半の長期閉館になっていました。
作戦変更で、北海道立図書館の北方資料室に調べに行きました。しかし開拓時代の織り機の資料はなかなか見つかりません。
図書館の職員の方から「開拓時代に限らずに織物そのものを調べてみては?」とのヒントを得て一般図書の中から世界中の織物を研究した「ぶ厚い百科事典」のような書物に出会いました。
それはとてもよく出来た研究資料で、あらゆる内容が網羅されていて、頭の中で織り機を組み立てて可動させる事ができました。
貸し出し可能という事でしばらく手元に置いて熟読しました。世界各地には様々な織物が存在していて、「時間と手間」を惜しまなければ、簡単な道具でも相当緻密な織物が作れる事がわかりました。 |
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![手作りで織り機を作成しようと100えん均一の店で揃えた材料の写真](600/_0060536.jpg) |
まずは深く考え込まずに、思いつきで手製の織り機を作ってみて、実際に作業をしながら先の事は考える方針で進みます。
針金ハンガー、手芸用編み針、髪を解かすクシ、手芸用の糸各種、ロックミシン用ボビン糸、麺棒、ステンレス板、タコ糸、木綿糸、アルミ棒角型のタオルハンガー、アルミ針金各種、等々早速100円均一の大型店舗に行って使えそうな道具を調達して試行錯誤の開始です。 |
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![壊れないようにサングラスのケースで運んでいるニジの写真](600/_0063979.jpg) |
・・・約一年の途中経過をバッサリを省略して、辿り着いたのが経糸一本、横糸一本、織り機は指先というこちらの織物。織物というか針金の折曲げ物というか、なんとも形容し難い物体ですが、とりあえず「ニジ」と呼んでいます。これでも織物の用件は満たしているのではないかと思います。
ニジは作品を販売して収益を上げるという部分は無く、単純に皆で楽しく遊びましょう!という遊び心のみで出来ています。
今回はこのような「ニジの手芸作品をみんなで作ってみましょう」というサロン活動が可能かどうか?それが楽しいのかどうか?の実験的な活動をさせてもらうために行きました。
ニジの本体はアルミの針金で曲がりやすい為、あらかじめ作っておいた見本のニジはサングラスの保護ケースに入れて持参しました。 |
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![朝日を浴びるテントとバイクの写真](600/_0063989.jpg) |
10月も半ばを過ぎて寒さが厳しい朝ではありますが、一年半の試行錯誤を形にして持参出来た事が嬉しく、それを積んでバイクで野宿旅が出来る事が嬉しい。晴れ晴れとした気持ちに朝日がまぶしい。 |
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![秋刀魚の陸揚げに群がるカモメ達の写真](600/_0064105.jpg) |
朝の宮古港は秋刀魚の陸揚げで賑わっていました。海鳥やトンビやカラスまでもがおこぼれ頂戴を狙って群がっています。
写真を撮ってから朝食を食べに町に向けて出発すると、漁港から出てきた秋刀魚を積んだトラックに追いつきました。
すると上空がヒッチコック監督の映画「鳥」のような状態になりトラックの荷台にばら積みされている秋刀魚目掛けて鳥達が群がってきます。
秋刀魚は鳥達に咥えられて四方八方に飛んでいきます。
面白がって見ていると、目の前に秋刀魚が降ってきました。重すぎて運びきれなかったようです。すかさず狙う鳥達をバイクで蹴散らして、秋刀魚一匹ゲット! |
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![カモメから奪い取った秋刀魚の写真](600/_0064136.jpg) |
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![美味しく焼きあがった秋刀魚の写真](600/_0064151.jpg) |
予定を変更して港の片隅で秋刀魚の塩焼きの朝ごはん。ウミネコが突っついた穴を下にして焼いたので、秋刀魚の油が全体に周り、呑み助にはたまらない風味の塩焼きになりました。宮古の秋刀魚最高です!
今朝のご飯は新鮮秋刀魚でしたよ〜と、この話を仮設住宅の方にしてみると、昔は秋刀魚を積んだトラックの後をついていくと、道が悪かったのでよくポロポロ落としていったもんだと話してくれました。 |
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![ニジの完成集合写真](600/_0064171.jpg) |
宮古の仮設住宅の談話室で一緒にニジ作りをしてもらいました。やはり普段から手芸をされている方は要領良く完成させていました。 |
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![ニジの集合写真](600/_0064170.jpg) |
![ふたつ並んだニジの写真](600/_0064189.jpg) |
![ニジの写真](600/_0064174.jpg) |
![個性的なニジの写真](600/_0064177.jpg) |
![個性的なニジの写真](600/_0064179.jpg) |
同じ作業を行っていても、同じニジは出来ませんでした。其々に個性的な味わいのあるニジが出来ました。
一緒に作ってくれた方が「持参した見本のニジと比べると形が整っていない」と笑っていましたが、私20個以上作ってようやく完成させた形ですので、初めて作って一回目から同じクオリティーで作られてしまっては、立場がありません(笑) |
実際に作ってみると良い点と改善すべき点がはっきりと判り、次回の課題ができました。 |
この経験を元に他の地域でもニジ活動のニーズが無いかボランティアセンター等に営業活動をします。 |
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