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 北海道の海岸沿いに「オロロンライン」と呼ばれる快適なドライブコースがあります。

 それは日本海側の石狩から稚内にかけての海岸線を走る道で、主に国道231号線、国道232号線、道々106号線、を通称オロロンラインと呼んでいます。ルート中ほどにある於冬岬の断崖地形に難工事をして平成の時代になってようやく全線開通した新しいルートです。かつての開拓時代には小樽から舟に乗って数日かけて行き来していた海路を数時間で快走できる夢の陸路です。

「オロロンライン」のオロロンとは?この海岸の沖合いにある天売島で、かつて繁殖の為に大群で集って「オロロン〜」「ウルル〜ン」と鳴いていた海鳥「ウミガラス」の鳴き声を聞いて天売島民が「オロロン鳥」と愛称をつけた事からきています。

「オロロン鳥」の姿は、丸々とした体型に白黒デザインとペンギンに良く似ています。体の後ろに付いた足で直立するよう立ち、岩場の上をよちよち歩く姿もペンギンそっくりです。

日本では「ウミガラス」=「オロロン鳥」が繁殖しているのは天売島だけです。かつては他にも渡島小島やユルリ・モユルリ島等にも集団繁殖するコロニーが数箇所あったようですが、消滅してしまったそうです。

近年天売島でもその数が減っているらしいので、フェリーに乗ってオロロンラインのオロロン鳥に会いに行ってみました。
1)国道沿いの巨大なオブジェ
国道脇にたたずむお腹に
「ようこそサンセット王国はぼろ」と書かれた巨大オロロン鳥のオブジェの写真 海岸沿いの国道231号線、羽幌町の入り口にオロロン鳥の巨大オブジェがあります。立ち姿はペンギンのように見えますが、そのへんの事は羽幌町の海鳥センターに行くと良く解ります。
2)フェリーで1時間
フェリーの甲板から左舷に身を乗り出して船首ブリッジ越しに望む天売島と焼尻島の写真 羽幌町から天売島まで直線距離で約30kmです。フェリーに乗って焼尻島経由で約1時間半、高速船なら約1時間です。観光シーズンには一日4〜6便、オフシーズンは一日1便です。
3)無賃乗船
フェリー甲板に降り立つオオセグロカモメの写真 フェリーにはカモメも乗船しています。この航路では主に「オオセグロカモメ」が乗船しています。ちなみに利尻航路では主に「ウミネコ」が乗船してきます。
4)廃物利用
観光客の投げた餌を上手に空中でキャッチしたカモメの写真 羽幌のフェリーターミナルには、珍味の加工の際に出る切れ端が袋に詰められてカモメの餌として売られています。

甲板では乗船客がカモメに餌を与えて楽しんでいます。飛びながら機用に手から餌をもらっていきます。
5)突っ突いて丸飲み
カメラ目線のまま小さな歩幅でゆっくり歩いて餌に歩み寄るオオセグロカモメの写真 甲板に落ちた珍味を食べに水掻きの足でペタペタ歩いてやってきます。彼らの基本は突っついて丸飲みです。

体長60センチ、翼を広げると150センチにもなる大きな鳥で優れた飛行能力を持っています。でも地上を歩く様はもたもたゆっくりのんびりです。
6)何でも飲み込む大きな口
フェリーの救命いかだの上で遠鳴きをして自己主張するカモメの写真 この大きな口で何でも食べる「オオセグロカモメ」は近年他の海鳥達の生息を脅かす存在になっているようです。

そもそも「オオセグロカモメ」は他の海鳥の雛(ひな)を捕食する天敵ですが、その数が大きく増えている事が問題です。

「オオセグロカモメ」が増えている原因は「カラス」が増えている原因と近い事だと考えられています。それは人間の活動によるものです。特に本来食べ物が不足するはずの冬期間に十分な食料をとれる事がそのまま越冬数の増加になっているようです。 
7)港の出迎えオブジェ
港に鎮座している「ようこそオロロンの里てうり」とお腹に書いてある巨大オロロン鳥オブジェの写真 フェリーが天売港に着くと正面に巨大なオロロン鳥が出迎えてくれます。まるで羽幌町のオロロン鳥のオブジェと遠く向かい合うようにして鎮座しています。

カッコウ〜と鳴くから「カッコウ鳥」
オロロン〜と鳴くから「オロロン鳥」

オロロン鳥(ウミガラス)は狭い岩棚に寄り添って通勤電車のような込み合った集団を作り子育てをします。巣は作らずに岩の上に直接卵を産み落とします。そのため卵の形は崖から転がり落ちないように極端な円錐に近い楕円形をしていています。そしてそれぞれに特徴のある模様があり、親鳥は模様を見て自分の卵の識別をしているようです。

卵が孵(かえ)るとき、雛(ひな)が中から穴を開け始めてから完全に殻から出るまで数日もかかります。その間雛と親鳥は鳴き合って、お互いの声を覚えます。巣をもたない鳥なので、呼び合って声を聞き分けて親子を確かめているようです。 
8)足元の出迎えオブジェ
足元の小さな岩の上に止まっている実物大のオロロン鳥のオブジェ「デコイ」の写真 フェリーターミナルの玄関では、オロロン鳥の実物大の模型(デコイ)が出迎えてくれます。これが実際のオロロン鳥の大きさで、身長40センチくらいです。

オロロン鳥は断崖の岩場に集団(コロニー)を作って繁殖します。その習性を利用して、あらかじめ岩場に多数の模型(デコイ)を設置して、仲間のコロニーがあるように錯覚させて、数が減ったオロロン鳥を島に呼び戻す作戦が展開されています。

オロロン鳥を始めて観察しようとする時には、まずデコイを良く見て容姿を立体的に覚えておくと現場での探鳥に役立ちます。

デコイは観光客を呼び寄せる効果もあるようです。(笑) 
9)島のメインストリート
島のメインストリートを野宿道具を背負って営巣地まで歩いている観光客の写真 天売島は周囲10k程の小さな島です。海抜の低い東側に人々の生活圏が集中していて、西側の断崖絶壁は天然記念物に指定された海鳥の一大繁殖地になっています。

フェリー埠頭から島のメインストリートを通って、島の外れの断崖にある赤岩展望台に向かいます。
道端を悠々と歩いている丸々としている白黒ネコの写真 10)第一島猫発見!
歩道でのんびりひなたぼっこをしているトラネコの写真 11)第二島猫発見!
雑貨屋の天井から吊り下げられている金網で作られたネズミ捕り罠の写真 12)島の雑貨屋を覗いてみるとネズミ捕りが売られていました。ここはどうやらネズミが出るらしい。猫様はネズミをやっつける大役を担っているのかな?
13)町外れの鳥獣保護区
鳥獣保護区を示す赤い標識の立てられたウトウの巣が密集する保護区の写真 町外れの断崖の上にある鳥獣保護区です。地面の穴は「ウトウ」の巣穴です。一帯一面穴だらけです。

「ウトウ」といっても「ウ」の仲間ではなく、ウミスズメ目のオロロン鳥に近い種族です。突起という意味のアイヌ語「ウトー」という名称です。嘴(くちばし)の突起をとらえたネーミングです。

繁殖期の「ウトウ」は日中は両親鳥は共に沖合いに餌を獲りに出ています。巣穴の中では一羽の雛が日没後の親の帰りを待っています。
14)巣穴の前で待ち構える猫
いつでも飛びかかれる体制でウトウの巣穴を見張っているトラネコの写真 駐車場の片隅に丸々と太った猫様がいました。このネコ様は、「ウトウ」の巣穴の前でじっとしています。それは中に雛がいる巣穴には、必ず親鳥が帰ってくる事を判った上で帰りを待ち伏せしています。ネコに眼を付けられてしまったこの巣は一家全滅です。

ここは奥の茂みの中にある巣穴への出入り口になっていました。親鳥は駐車場付近の開けた場所に着陸して、茂みの巣穴へ向ってここを駆け抜けていきます。ネコはそれを判った上でバックホームを待ち構えるキャッチャーのように陣取り、一晩中夜が明けるまでウトウを追い回していました。 
15)海鳥営巣地
天売島の突端で真っ青な空に刺さるように佇む純白の燈台の写真 これは赤岩展望台の散策路から振り返った遠く焼尻島を望む風景です。周囲は見渡す限りの「ウトウ」の巣穴だらけです。

調査によると10m四方に150個程も巣穴があるという超過密状態になっているそうです。巣穴の深さは数メートルもあり、中には3メートルになもなる深い巣穴もあるそうです。

外敵や寒暖の差から雛を守る為に深い巣穴を掘っていると考えられています。
16)陸のネコと空のネコ
水平線まで広がる青い海に浮かぶウトウの巣穴だらけの斜面の写真 16)散策路から見渡す限りの切り立った断崖絶壁の上部は「ウトウ」の巣穴によって植物が枯れて裸地が広がっています。こうなると巣穴は丸見えになり、出入りする際に外敵の攻撃を受けやすくなります。

それを見越してか岩の上には「ウミネコ」が陣取っています。
 天売島で繁殖する「ウトウ」の数は50万羽とも60万羽とも言われ、世界一の規模だそうです。
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