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2-9)蝦夷鹿の話(その二)
 母鹿は森の境界付近まで歩き、緑の濃い部分に子鹿と反対方向を向いて座りました、そのまま森の方を警戒して、子鹿の方には一切目線を与えません。

 それでも子鹿は一生懸見張っています。自分の身は自分で守れるようになれないと自然界では生きていけません、母鹿はあえて子鹿に目線を与えないようにしていますが、

 実は母鹿の右耳はしっかり子鹿を気使っているのです。三家族で陣地を組んだ時のように本来的には藪の方を耳で聞いて、視界の利く方を目視したほうが効率的ですが、小鹿の自立を即すためか、あえて任務を与え、実行させています。
 
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