63)蝦夷羆の話(その二)
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キャンプ場に羆が出た 
 人間の生活圏の外れに作られたキャンプ場は、熊の生活圏に隣接しています。何かの拍子に熊が顔を出してしまう事も考えられます。利用者が沢山訪れる時期には、それを目撃してしまう可能性も高まります。
誰もいないキャンプサイトでのんびり草を食むエゾシカの写真
2-1)
 このキャンプ場にも日常的に蝦夷鹿が出没します。他にも北キツネや蝦夷リスや蝦夷タヌキや蝦夷クロテンや蝦夷ユキウサギなども出没している可能性があります。

 その中で羆の出没が確認されるとちょっとした騒ぎになります。
キャンプ場の炊事場に張り出された羆に対する注意喚起の張り紙の写真
2-2)
 深夜キャンプ場内で羆が目撃されたという事で、注意を呼びかける張り紙がされています。 ここで何が起きて、事態を収めるためには、どうしたらよいのか、という事が具体的に書かれています。 これこそが人と羆が隣合わせに共存していくための明確なルールなのです。

 この地域にはいくつもの遺跡が出土しています。そんなことからも太古の昔より自然の恵みが豊かな場所だった事が伺えます。その中で人と羆も一定の距離を置いて自然の恵みを分かち合い共存してきた経緯があります。
閑散とした誰もいないキャンプ場の炊事場付近の写真
2-3)
 基本的に羆は縄張りを持ち、中で得た獲物に固執します。獲物に近付く他の羆は徹底的に排除します。しかし魚達が産卵のために川に上ってくる時期には、縄張りの掟を一時留保して、自分の縄張りで魚を獲る事を許します。

 それは仲良くしているわけではなく、お互いの為に適度な距離を保ちつつお互いに無視しあうのです。そうすることで無用な争いを避け縄張りを持てない弱い熊も魚にありつく事ができます。そうして冬を越す事ができます。狭い地域に暮らすための野生の知恵、羆にとっての地域の決まり(ローカルルール)です。
キャンプ場の入り口に出された羆出没によるキャンプ場閉鎖看板の写真
2-4)
 翌日キャンプ場そのものが閉鎖されてしまいました。 この町に住む人達はこの土地に住み続ける為にルールを守り、羆と共存してきました。 そこにルールを知らない、もしくは守らない者が入ってくるとトラブルになります。

 羆相手のトラブルは深刻です。不特定多数を相手に施設を管理する立場としては、この場合使用禁止にするしか有効な手立ては無いのかもしれません。同じ町内のキャンプ場を利用するように案内が出されています。
 
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