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 この大会は札幌裏手の自然林を走るコースです。自然保護の観点から、ことさらコース幅を広げるような事はしていません。どちらかというとコースは狭いのです。基本的なルールとして、狭いコースで早い選手に追いつかれた場合は道を譲るというきまりがあります。また、早い選手は遅い選手に追いついた場合には声を掛けて安全に追い抜くというルールがあります。競技である以上ルールに従って走らねばなりません。

 しかし、声を掛けずに接触寸前の危ない抜き方をしたり、遅い選手のストックを踏んでバランスを崩した隙に抜いていったり、コースが狭くてうまく抜けなかったり、あるいは声を掛けられても道を譲らなかったり、走るのに必死で道を譲る余裕が無かったりと、レース中は皆が必死で我先にと急ぐ集団心理が働いている事もあり、冷静な判断がつかない参加者もいるのです。

 写真は画面中央の白ゼッケンの50km競技の選手がコース脇に避けて、集団で追い抜くピンクゼッケンの25km競技の選手をやりすごしている様子です。ここは急な登り坂です。譲っている選手はスキーを開いて登る事が出来ずに通常の何倍もの体力を消耗させられています。それでもスキーを踏まれて転倒して道具を壊されてしまうリスクを考えると、ここはじっと我慢をする事が得策なのです。弱い選手は端に追いやられてかわいそうですが、これが仕方の無い実態です。

 ここはこの大会一番の難所でもあります。この急登を登り切ると、急なカーブのある危ない下りが出現するのです。急坂では距離を開けて一人ずつ通過しなければならずに、どうしても詰まってしまいます。ましてや誰かが急坂途中で転倒してコース上に倒れてしまうと、次の選手が通れません。転倒者が立ち上がってどけるまでコースが塞がります。

 そんな転倒者が転がっている所にもし次々と後続選手が滑り降りていったら大きな事故になってしまいます。スキーマラソン用の板にはエッジは無く、急に止まったり曲がったり出来ません。

 そんな事があってこの急な登り坂は大渋滞が発生する場所でした。坂の下から上まで二列になって完全に詰まって止まってしまうのです。びっしり先が詰まっているので、皆大人しく先が動くのを待って順番に、よちよち、進むしかないのです。

 しかし、そこに25kmの選手が追いついてくると、完全に詰まっている大渋滞の中を無理やり踏み越えて進むような事態も発生していました。そうなると罵声や怒号が飛び交い、険悪な空気が漂います。 そんな状態に直面してこの大会から去っていった方も少なくありません。

 それでも、根本的な問題を抱えながらも大会運営側の工夫によって現在では極端に危険な状態や険悪な事態は発生しなくなりました。
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