26)洞爺湖一周カヌーツーリング2002 (後編) |
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2002/6/6〜7 |
洞爺湖一周二日目の朝、 夜も更け薄明るくなってテントの外に出てみると、風も無く、音も無く、薄く靄が立ち込める眠っているような洞爺湖の朝の表情がありました。 研磨された分厚い金属板のような湖面にくっきりと中島が映り、現実と非現実の境界線が出現していました。まだ遠く地平線の彼方の日の出前の太陽から発せられる淡い光の変化によって、雲の表情と共に刻一刻と変化していく水面を気の抜けきったビールのようにぬぼーっと漂うように眺めていました。
われにかえって「写真を撮らなきゃ」と気付いた時、一艘の釣り舟のエンジン音が静寂を打ち破りました。「これはいかん!」と思った時にはすでに遅く、一枚の巨大な金属板にされていた洞爺湖は一瞬にして魔法が解け、普通の水面に戻ってしまいました。 |
1)
朝靄の中静寂の湖面に漕ぎ出します。昨日進んできた方向を振り返ると、遠くに羊蹄山「ようていざん」が見えました。左手前端が中島、隣奥が羊蹄山です。まだ洞爺湖は眠っているらしく、昨夜の魔法の名残で湖面は鏡のような表情を見せています。 |
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2)
今日は朝一番で、湖の中心部に向かいます。 左端の島が弁天島、隣が観音島、中央右奥の三角の高い山が中島で右前方につながっています。三角の手前の小さな島が饅頭島です。中島は観光地化されていて定期観光船が通り、島には博物館等があります。朝一番に風が出る前に一気に約4km漕いで中島に渡ります。 |
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3)
右が饅頭島の近景です。 名前の通り、饅頭のような形をしています。 |
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4)
周囲1km程度の小さな弁天島ですが、そこに蝦夷鹿の親子がいました。鹿に気付いてゆっくりと近寄っていくと逃げる気配は無く、じっとこちらを見入っていました。 と、そこに島影から突然遊覧船が現れました。「背後から波を食らったらいかん!」と振り返ったその時に鹿は森の中に消えて行きました。 |
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5)
湖を周遊する遊覧船です、 洞爺湖の中島は大小4つの島からなり、周辺は比較的浅いので狭い航行ルートを慎重に進みます。 その時巻き起された波は、中央の深部より淵の浅瀬に乗り増幅されてしまい、小さなカヌーにとっては驚異的な大波となって押し寄せてきます。横波を受けると転覆してしまいますので、舳先を向けて正面から大波を待ち受けます。 |
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6)
中島の周囲は水鳥達の営巣地になっています。 ちょうど今ごろは親子連れの鴨があちこちで見られます。これは付近に潜んでいるヒナからこちらの注意をそらす為に、親鳥が意図的に目の前に出て来て怪我をして飛べないふりをしている擬似行為です。 |
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7)
湖底には苔むした石が並び、あいだを小魚が泳ぎます中島周辺は非常に浅い所があり、油断するとこの小さなカヌーですら座礁しかねないほど浅いところもあります。そんな中、大きな魚達が集っている場所を見つけました。
息を殺してそっと漕いで近づきます。滑るように真上まできた所で船べりから下を見ると、まるで金魚すくいの屋台を覗いているような感じです。火山の噴火によって数年間人が入らなかった事が魚達にとっては良かったようです。 |
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8)
風が作る湖面の流れによって作られた自然な地形です。 美しい砂浜の先にはたくさんの魚が集まっていました。中島の北側には大型観光船が来ないので自然な湖岸の地形が保たれているようです。そっと浅瀬に乗り上げるように上陸して綺麗な砂浜に寝転びます。目を閉じると、森の匂いと魚達の囁きに包まれて現実の境目から転落しそうになります。 |
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9)
右奥の山が有珠山、手前の背の低い島が弁天島 その隣が観音島、一番左が中島です。それぞれ時計回りに島を廻って観察してから、頃合を見て風が出てくる前に一気に中央部を漕ぎ切って湖岸を目指します。 |
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10)
虻田町側の湖畔道路です。 洞爺湖は湖畔の道路がきれいに一周しています。このあたりは人を寄せ付けない断崖になっています。 |
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11)
昨日の出発地点、 洞爺町の浮見堂のキャンプ場に戻ってきました。一泊二日のカヌー旅はここで終了です。
感想としては日程をもう一日増やして、2泊3日位の日程で途中所々上陸して買い食いしながら巡るともっと面白い旅になるだろうな〜思いました。 |
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