1) 「さりげなく顔を出した岩」・・・とても解り易い状態で露出している優しい岩です。 このように路面状態が良くスピード出やすい場所にさりげなく登場する岩等は、うっかり見落として減速せずに踏んづけてしまうと、「リム打ちパンク」をする危険があります。
それは身近に例えると、タイヤの空気圧の減った「ママチャリ」で歩道と車道の段差を勢い良く乗り越えたときにタイヤが段差に衝突してタイヤが押し潰されてリムと段差に挟まれてタイヤの中の空気が入ったチューブに穴が開いてパンクしてしまうことがあります。それを「リム打ちパンク」といいます。
・・・「小さく露出した岩」 |
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2) 「リム打ちパンク」 原因としては
1)タイヤの空気圧が少なく衝撃に耐えられなかった。
2)障害物への突入スピードが速すぎた。
3)障害物に衝突する時に荷重を抜く動作が足りなかった。
4)ブレーキを掛けながら障害物に突入してしまった。
5)運が悪かった
等があります。
・・・「大きく露出した岩」 |
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3) 空気入りタイヤは路面の凸凹を吸収する役目を持っていますが、それぞれ吸収できる衝撃には限度があります。運動速度の遅い衝撃では、付随するバネ装置(サスペンション)によってそのエネルギーをバネが吸収しますが、
運動速度の速い衝撃が加わった場合、バネに伝わるべき運動エネルギーが、タイヤ、ホイル、ハブ、車軸、ブレーキ盤、フロントフォーク、等のバネの下側に取り付けられた部品の重量からくる慣性力に邪魔されてスムーズに伝わりません。
・・・「浮き石に紛れた岩」 |
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4) 「ゴツン」と素早く突き上げる衝撃に対し、タイヤが潰れる事でその力を受け止めますが、 許容量を越えた力はタイヤを超えてリム(ホイール)に伝わりリムを変形させたり、間に挟んだチューブを裂いたり穴を開けたり(リム打ちパンク)します。
それらは衝撃のスピードを減らす事であっさり解決します。道の段差や露出した岩の上はゆっくり通過するという基本にのっとった走り方で解決します。
・・・「カーブ途中に潜む目立たない岩」 |
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5) しかしゆっくり走ればすべてOKという事にならないのがバランスの乗り物バイクの面白い所です。 当たり前の事ですが、二輪車はある程度のスピードが無いとバランスが保てません。
例えば写真にあるような荒れた急な砂利道を上る時、初めからゆっくり進入してしまうと坂の途中で浮き石に駆動力を奪われ続け失速して止まってしまう可能性があります。特に鈍重なバイクにとって惰性は重要です。
・・・「荒れた砂利道の上り」 |
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6) 特に激しく荒れた砂利道(ガレ場)の急斜面を上る時には、坂の途中で浮石に足元をすくわれても止まってしまわないだけの余裕をもった、勢い(スピード)(惰性)(慣性力)が不可欠です。
ゆっくり進入しハンドルを切ってバランスを取れる限界の速度まで追い込まれた時、浮き石でバランスを失いかけたバイクは極めて不安定な状態に陥り、重力に逆らう登坂抵抗から逃れようと急激に左右に進路を変える挙動に出ます。
また、途中で止まってしまうと再スタートが困難になり、ハイスピードで進入した場合は、浮石に隠れた岩による「リム打ちパンク」の危険が増大し、大きな浮石にハンドルを取られ突発的に進路を変えられる危険が増します。
・・・「ちょいガレ場の急登」 |
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7) 止まっている物体は止まり続けようとする。 動いている物体は動き続けようとする「慣性」の法則。 地球上の全ての物体に働く万有引力の法則。 エネルギー保存の法則や等速直線運動の法則。
路面の摩擦係数とタイヤの接地圧力の関係。 タイヤの空気圧と接地面積と許容する衝撃力の関係。 路面による静摩擦と動摩擦の変化点と変化率とその特性。 変加速度運動時の前後車輪の荷重変化の関係。 路面及び進行速度の変化に伴う緩衝装置の挙動と特性・・・・・
・・・「平坦路に脈絡無く現れる落石」 |
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8) 小難しく列挙すると切りの無い理屈ですが、全て基本的な部分です。しかし都会の舗装道路を走っているかぎり特に気に止める事もありません。
頭で判らなくても身体で知っていれば良い事ですが、頭でも身体でも知らない状態でここを訪れてしまうと手荒な歓迎を受けるかもしれません。
・・・「急な下り坂に現れる鋭い段差」 |
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9) そんな時、急場を凌ぐ方法としては、「タイヤの空気圧を落とす」というのがあります。 悪路を走破するための古典的で効果的な方法ですが、先に説明した通り、内圧が抜けてタイヤが腰砕けになるとリム打ちパンクのリスクを伴うという事もあり、基本的な部分をしっかり理解してから、という前提がつきます。
それは、まず車両に記載された標準の状態でしっかりとコントロール出来るようになってから、さらに、現場でパンク修理が確実にこなせるようになってから試してみるのがいいと思います。
・・・「道路修復用に厚く敷かれた砂」 |
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10) タイヤの空気圧は恒に規定値を維持し、少しでもおかしいと思ったらバイクを停めて即確認する。 パンクに気が付かずに走行を続けると、直線部分は走り続けられるもののカーブでタイヤが潰れ歪み、予期せぬ転倒を招く恐れがあります。左カーブで滑って対向車線に飛び出すと結果は重大です。
タイヤと路面の摩擦力を感じ取る。恒にタイヤの異常を感じ取り続ける。これが尻に課せられた重要な課題です。路面は目で読みタイヤは尻で感じるものなのです。そうして限界点を探るのが楽しいバイク遊びです。
・・・「小砂利の浮いた締まった急な下り路面」 |
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