1234567890 その八 |
タイヤの内側に潜む罠
たとえ有名な企業の製品であっても、盲信してはいけません |
バイク用のタイヤには大きく分けて3種類あります。
1)チューブレスタイヤ・・・チューブレスタイヤ専用リムにはめて使うチューブレスタイヤ
2)チューブタイヤ・・・内部にチューブを入れて使うチューブタイヤ
3)基本チューブレスタイヤですがチューブを入れても使う事が出来る両用タイヤ |

1)
このホイルに組まれたリムはチューブレスタイヤ用のリムですが、チューブレス用のエアバルブを外して、タイヤチューブを入れて使っています。装着されているタイヤはドイツ製のチューブレスタイヤです。既ににこの状態でチューブタイヤとして3セット使用していますが何の問題もありません。 |
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2)
毎度毎度タイヤ交換の度にチューブも出し入れします。基本的にタイヤチューブも消耗品です。タイヤ交換毎に点検して必要なら交換します。特にチューブレスタイヤにユーザーサイドで勝手にチュープを入れて使う場合には、自己責任の下点検も入念になります。 |
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3)
タイヤの内側には製造の際に金型から抜きやすいように特定の模様が入っているものがあります。
写真はドイツ製のチューブレスタイヤの内側の写真です。上が舗装路用タイヤで斜めの模様が入っています。
下が悪路用タイヤで鉛直方向の模様が入っています。どちらも模様が入っています。 |
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4)
その模様が内部に入れたチューブに干渉してチューブ表面に跡を付ける事があります。
このチューブはドイツ製のチューブレスタイヤを3セット履いています。距離にして2万5千キロ以上使いました。
チューブ表面に斜めのタイヤ内面の模様の跡が付いています。まだ使えますが安全の為新しいものに交換します。 |
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5)
チューブがタイヤに密着して押され続ける事でにタイヤ内面の模様が付いたとしても通常はたいして問題にはなりません。
しかし、ある特定のタイヤに関しては「深刻な問題が起こります」
写真左がドイツ製のチューブレスタイヤです。チューブを入れて使っても問題ありませんでした。
写真左がフランス製のチューブレスタイヤでもチューブタイヤとしても使えるという両用タイヤです。しかしこれをチューブタイヤとして使うと、ある深刻な問題が起こります。 |
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6)
これはフランス製の某タイヤです。タイヤ内側に独特の網目状の模様が付いています。 |
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7)
タイヤの表記はチューブレスタイヤです。しかし、チューブタイプのリムに装着する時はチューブを使えとの表記があります。
このタイヤメーカーはこのタイヤに関してはチューブレスタイヤでもチューブタイヤとしても使えると謳っています。 |
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8)
ところが、このフランス製の某タイヤをチューブタイヤとして使うとタイヤ内部の網目状の突起模様がタイヤチューブの特定部位を傷つけ削ってしまいます。写真中央の深く削れた部分は穴が開く寸前まで削れています。 |
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9)
写真からタイヤチューブに表記されたメーカー名とメーカーロゴが削られて薄くなっている事が解ります。
不思議な事にタイヤ内側の全周にわたってこの網目模様は刻まれているのですが、チューブに干渉して削ってしまうのは、タイヤ側面部のみです。 |
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10)
密かにチューブ全周にわたって少しずつ側面を削っていきます。ついにはタイヤチューブ側面に穴が空いてパンクしてしまいます。これは実際に現場でパンクを起して修理をしたチューブです。
実はこのタイヤチューブの中にはアメリカ製の強力なパンク防止剤が注入されていました。それはアポロ計画で使った月面探査車のタイヤにも使われていた実績をもったパンク防止剤です。
5ミリ程度の穴なら塞いでしまう程の優秀な性能をもっています。チューブ内に注入されたパンク防止剤はタイヤの遠心力によってトレッド面に均一に行き渡って、釘等のパンク穴を瞬時に塞いでしまいます。 |
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11)
しかし、このようなタイヤチューブの側面に開いた穴には全く効果がありません。しかも一度穴が開き始めると空気が抜ける事でタイヤの変形量が増えて加速度的に削れて穴が大きくなり、一気に危険な状態になってしまいます。
たとえパンク防止剤が作用したとしても穴を塞ごうとしている部材もろともどんどん削ってしまいます。
そんなパンク状態でコーナーを曲がったらどうなるか?タイヤが潰れて腰砕けになって滑り、思いっきり転倒してしまいます。
実際そうなりました。一瞬何が起きたか解らずに地面に転がってしまいました。幸い対向車線まではいかずに済んだので大事にはなりませんでした。 |
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12)
現場でのパンク修理も困難なものでした。普通にパッチを張っても削れた溝に沿って空気が漏れてしまいます。
パンク穴の周りの削れて薄くなっているタイヤチューブを溝が消えるまで削る作業は慎重を極めました。しかもチューブの至る所がパンク寸前に削れています。
そして噴出してタイヤ前周をヌルヌルにしているパンク防止剤を洗い流しての作業です。
事故現場の地方の町に代えのチューブは在りません。どうにか修理をしてだましだまし札幌に帰りました。原因と結果をもってバイク屋を通じてメーカーにクレームをつけてもらいましたが、
さすがはフランスの会社です。にべもありませんでした。写真は新品のタイヤチューブです。 |
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