吹雪でワイパーが凍りつく |
酷い吹雪や弱い吹雪でも状況によってはフロントガラスに吹き付ける雪がワイパーに凍りつき、ワイパーの機能を失わせてしまう事があります。そのシステムは以下のプロセスになります。 |
1)フロントガラスに吹雪が叩き付けられる。 |
2)叩きつけられた雪によりフロントガラスが急冷される。 |
3)急冷されたフロントガラスの内側に酷い結露が発生する |
4)結露を解消するためにデフロスターを作動させる |
5)デフロスターによってフロントガラスに温風を当てて結露した水滴を蒸発させて視界を回復させる。 |
6)フロントガラスに温風を当てる事でガラスの温度が上昇して叩き付ける雪が瞬時に解けて水になる。 |
7)雪が解けた水をワイパーが拭き取り、その水分が吹き付ける風に冷却されてワイパーに着氷がはじまる。 |
8)1)から7)の工程が繰り返される事によって、ワイパーの氷塊が急速に成長する。 |
9)ワイパーに付着した氷塊によりワイパーのラバー部分が覆われフロントガラスから浮かされてしまう事で、ワイパーの拭き取り能力が失われていく |
10)ワイパーに付着した氷塊が成長を続け、フロントガラスの拭き取り残しが増えて前方が見える部分が少なくなっていく。 |
11)ワイパーの拭き残しの隙間部分を探して覗き窓のように顔を寄せて前を見ながら走るようになる。吹雪き地帯を抜け出る事を期待してゆっくり走り続ける。 |
12)ついに前方視界が完全に失われてしまったら、覚悟を決めてハザードランプを点灯させて停止する。前後を走る車両にも同じ事が起こっており、走り続ける事が困難になっているはずなので、同じように止っているか、走り続けていたとしても速度が遅いので、追突されてもダメージは少ないと考える。 |
吹雪の中で立ち往生する |
13)停止してしばらくたっても何も起きなければ、後続車も止っていると思い一安心。少し窓を開けて外の様子を見て、可能ならワイパーの氷塊を取り除く試みをする。 |
14)ワイパーが回復して前が見えるようになったら、道路状況を見て進めるようならゆっくり前進する。 |
15)視界不良により走行不能に陥ってしまったら、無理に動こうとせずに視界が回復するまでその場で待機する。 |
16)降雪により動けなくなった場合には、腹を決めてその場で救助を待つ。下手に車外に出て風雪に曝されると、靴や着衣を濡らしてしまったり、体力を消耗したりと、後々の持久戦に不利になる。 |
17)車体のドアの下まで雪が積もったらエンジンは止める。そうしないと車体の周囲が埋まるまで降雪に覆われてしまうと、排気管も雪に埋もれ、車体の下の空間に排気ガスが流れ込み、エンジンルームまで到達して、エンジンが排気ガスを吸い込み不完全燃焼を起こし、一酸化炭素濃度が急上昇する。 |
18)一酸化炭素は無色無臭で車内に浸入しても存在に気がつかない。少しづつ吸い込んで一酸化炭素中毒が始まっていても、すぐには自覚症状が出ない。 |
19)一酸化炭素の性質は単純な毒では無く、血液が酸素を運ぶ機能を停止させる作用をもつ。したがって吸い込んでも苦しく無く、痛くもかゆくも無い。 |
20)酸素を運ぶ機能が失われると、最初にダメージを受けるのが脳細胞になる。痛みを感じるべき脳細胞が死滅を始める事で、痛みを感じないまま死に至るらしい。 |
21)マイナス気温の中でエンジンを止ると寒さで凍死するのでは?と思うかもしれない。しかし、何の問題も無い、雪山のテントよりも快適にビバークできる環境だ |
22)寒くなったらシートバックを倒して、ゆっくりと腹筋運動をすればいい。20回もすれば温まり、50回もすれば暑くなる。新手のダイエットだと思って手足のストレッチを取り入れつつ腹筋しながら救助を待てば良い。 |
23)着衣が濡れていたり、体力を消耗していたり、泥酔していたりしない限り、どんな猛吹雪でも車内で守られて居る限り凍死する事は難しい。 |
昨年吹雪の中で立ち往生した車の中で一酸化炭素中毒により、一家4人全滅という痛ましい死亡事故が発生しました。また同時刻に吹雪で立ち往生した車から脱出して屋外で凍死する事故も起きています。 |
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冬の北海道を車やバイクで移動する際は冬特有の自然災害のリスクとそれに伴う人災のリスクを理解しておいたほうがいいと思います。 |
実は自分自身も北海道に住んでいながら十分理解しているわけでは無く、たとえ判っていても防げるとは限らず、近年天候の振れ幅が拡大している事を考えると正直怖いものがあります。 |