平成最後の年越し |
今回 宗谷岬に着いた時、その異常な混み方に圧倒されてしまった。探しても探してもテントを張る場所がみつからない、探すうちに、ついにもう自分の居場所が無いのかも?と暗い気分になっていた。
もし丘に上がる道のゲートが半分開いてなかったら、去っていたかもしれない。既に丘の上のテン場にも規制線が張られ閉め出されていた。
これが最後になるかもしれないと思い、かねてから考えていた事を実行した。それはかつてはテントを張るのは絶対に不可能な場所、宗谷岬灯台の先。
そこには強力な霧笛があり、吹雪くと海に向かって数キロ届く爆音が発射されていた。ところがあるときからそれが無くなっている事に気が付いていた。
爆音発生はもう無い、そこで年越しが可能になっていた。 |
昼下がりの元旦宗谷岬 |
騒ぎが去った元日午後の宗谷岬、写真を撮りに丘を降りるとポツンと一張りバイクのテントが残っていた。 時計は既に14時を回っている。さてはマシントラブルで停滞か?・・・と話を聞くと、そういう事では無いらしい。他に目的があるようだった。
バイクはエンジンが掛からなければ始まらない。
気温が低いとエンジンはかかりにくくなる。 それは 1)ガソリンの気化 2)エンジンオイルの粘性 3)バッテリーの電力 等温度の影響を受ける要素が絡み、始動性を悪くさせる。
特にマイナス気温でのエンジン始動は、難しくなる事がある 。風雪や海上をやってくる水分を運ぶ風が悪さして、始動不能の罠にかかる事もある。 |
昭和最後の年越し |
振り返ると昭和最後の年越しは、250ccのオフロードバイク 「ホンダXLX250R」に乗っていた。バイク雑誌の個人売買欄で手に入れた人生二台目のバイク、それは真半球燃焼室にツインキャブという理想を追求した、贅沢なエンジンを積んでいた。単気筒の吸気バルブ2個夫々に、プライマリーキャブとセカンダリーキャブの、二つのキャブレターを搭載していた。
時代はバイクブーム全盛期、北海道は砂利道天国林道天国だった。今は名だたる国道も途中で舗装が切れて、鬼の浮き砂利道があたりまえ、そんな道が嬉しくて、悪路で乗用車をぶち抜く事がオフ車乗りの埃りだった。(誇りが酷いので追いついたら抜かざるをえない)
北海道では冬は全ての道が、雪に支配される雪の国になり、裏路地から国道まで、全ての道がオフロード天国になる。冷やし雪道は、車両が作り出す轍形状も、巻き上げる雪煙込みで美しい。
バイクに乗る事が嬉しくて楽しくて、それが全てのような日々を送っていた頃、バイクのエンジンはキックで始動させるものであり、仮面ライダーに限らず、バイク乗りはライダーキックを繰り出せた。
当時も少数派だった、フルサイズのオフ車を乗りこなす、タッパのある女子が繰り出すライダーキックは美しかった。海岸で夕日を背にそんなキックをおみまいされたら、心は一発でやられてしまうだろう。
そんな女子や周囲に恰好つける為に、キック一発でエンジンを掛ける事に心血を注いでいた。
通常2〜3回キックすればエンジンはかかるもの、それを一回のキックでかけるのは少し難しい、冬はなおさら難しい、・・・その説明も難しい
以下超長文なので読むのも難しい(笑)、バイクの基礎が下敷きに無いと無意味な呪文に見えるはず、あれば経文とも読める。
エンジンの中身、キャブレターの中身、外から見えない部分を心の目で見て神経を通わせる |
キック一発でエンジン始動 |
始動前のエンジン内部には、燃焼室の中にも、インテークマニホールドの中にも、キャブレターのベンチュリーの中にも、燃やすべきガソリンが存在しない。
エンジン始動前は、ガソリンは燃料タンクから、燃料コックを通って、キャブレターのフロート室まで来ている。
エンジン通常運転状態では、フロート室からメインジェットで計量されたガソリンをベンチュリーに発生する負圧で吸い出して、空気中に噴出し、流入空気と混合させている。
別系統で、スロージェット+エアブリードで混合された、低速運転用の混ぜ混ぜ物質(エマルジョン)も生成される。
さらに別系統で、バイスターターバルブ経由の、エンジン始動用の濃いエマルジョンも生成される。
キャブレターで生成されたそれら混合気は、インテークマニホールドを通り、シリンダーに吸い込み、圧縮、点火して燃焼させる。
4サイクルエンジンは、1)吸気 2)圧縮 3)燃焼 4)排気 の4工程が1セットになっている。 まずは最初の吸気工程で空気とガソリンの混合気体をシリンダーが吸い込む所から始まる。
キャブレターのベンチュリーを流れる空気が、負圧を発生させ、フロート室のガソリンを吸い上げ、混合気を作り出す。つまりキックを始めた1回目の吸気行程では、流速が遅く、メインジェット計量のガソリンはほぼ出ない。
代わりに、低流速でも作動する、スロージェット計量のガソリンと、直接インテークマニホルド側の負圧で吸い出される、バイスタータバルブ経由のガソリンで補われる。
バイスターターバルブは、乗用車の通常のキャブレターでいう、チョークバルブになる。チョークとはプロレスの反則技のチョーク攻撃と同義で、相手の首を絞めて、呼吸を出来なくする反則技。キャブレターの首を絞めて、吸気を抑える事で、吸入負圧が高まり、フロート室の燃料が、余計に吸い出される。混合気を濃くするための仕掛け。
バイクのキャブに備わるバイスターターバルブは、キャブレターのインレット側とアウトレット側を直接バイパスする形で、空気とガソリンを混合し供給する。キャブのアウト側の負圧でガソリンを吸い出すので、スロットルバルブを開いて、アウト側の負圧が緩むと、吸出し量も減る特性がある。
一回目の吸気工程から、十分な混合気を供給しようとすると、バイスターターバルブは全開にして、スロットルバルブ開度を微妙に調節して負圧を調整し、混合気濃度と供給量をコントロールする。
通常は2〜3回キックすればエンジンは掛かるもので、通常にキックで始動出来るようにセッティングされたキャブレターは、必ずしも一発で始動させる為のベストセッティングにはなっていない。
加えてこのエンジンに搭載されている湿式エアクリーナーは汚れの吸着能力が高く、メンテナンスをサボる事による性能低下が大きく、設計通りの吸入負圧になっていない
バイスターターバルブ全開のスロットルバルブ開度ゼロで、鬼キックを繰り出すと、ガソリン過多でプラグを被らせる場合がある。それはスロットルバルブ開度ゼロは温間(温まった状態)アイドリングの適正位置であり、寒冷始動にベストの位置では無いことによる。
キック開始、クランクシャフトが回り始め、一回目の吸気工程が始まり、負圧が発生、キャブレターを通してガソリンが吸気中に吸い出され、不完全ながら混合気となって、エンジンに吸い込まれていく。
ベンチュリー径の細いプライマリーキャブが、スローを担当している所がこのエンジンのすばらしい部分で、微妙なスロットル開度が、始動時の混合比にリニアに反映する。
頭で考え実現象を想像しながら、右手で操作する。脳から神経を経由して、右手首を数ミリ回し、スロットルグリップに繋がったワイヤーケーブルが、プライマリーキャブレターのスロットバルブを数ミリ開く。その隙間を通る流入吸気が、負圧を発生させ、フロート室からガソリンを吸い出し、その調整された負圧分の、バイスターターバルブ経由のガソリンが、エンジンにプラス供給される。
一方、右足から繰り出すライダーキックは、圧縮上死点手前からクランクシャフトを回し始める。すぐ上死点を回り抵抗なく降り始め、下死点を通り上昇し排気工程、一回転し、上死点を通る頃には、キックペダルは水平付近の一番力の入る位置を回っており、キック力でさらに加速、十分な速度をもって吸気工程に入る。
勢い良く吸気工程に入ったシリンダーは、プライマリーキャブレターに十分な吸気流速を与え、適正な混合気を吸気する。下死点を通過、ピストン上昇、キック力+回転慣性で圧縮工程に入る。
圧縮上死点手前で、ライダーキックの回転力で回された、永久磁石とステーターコイルが生み出す電力を、コンデンサーに蓄電、点火コイル一次側に通電、CDIで計算された点火タイミングでコンデンサーを放電、誘導起電力により点火コイル二次側に高電圧発生、ハイテンションコードを経由して、キックパワーを変換した高圧電流を、スパークプラグに供給する。
圧縮されたガソリン混合気が充満した、真半球型燃焼室の頂点に位置する点火プラグに、電気的火花が飛ぶ、中心電極付近の混合気に火炎核が発生、スワールとスキッシュに乗って毎秒30mの速度で一瞬にして真半球型燃焼室全体に燃え広がり、断熱膨張、燃焼行程に入る。
高温高圧の燃焼ガスがピストンを押し下げ、コネクティングロッドを介し、クランクシャフトに力を伝達し、クランクシャフトベアリングを軸に回転力に変換して、エンジンを始動させる。
エンジン始動の儀とその解釈を経文にして、心で唱えるように、頭の中でその実像を想像し、神経とワイヤーを経由して、心とエンジンをリンクさせ、スロットル開度に全神経を集中させつつ、渾身のライダーキックを繰り出し、一発始動を試みる。 |
エンジン始動の儀 |
1)メインスイッチを入れ、2)ニュートラルを確認、3)燃料コックを確認、4)バイスターター確認、5)キックスターターを開き、6)フロントブレーキを利かせ、7)キルスイッチを確認、
8)キックペダルに右足を掛けクランクを回し圧縮上死点手前を探り、9)ワンウエイクラッチのノッチの掛りを整え、10)靴底の踵の出っ張りにキックペダルを合わせ、11)左足を安定させ右足を蹴り下ろす体制を整える、12)スロットルグリップを僅かに回しケーブルの遊びを取り、13)プライマリーキャブのスロットバルブを1〜2o開く位置までスロットグリップを回し、14)その適正位置をスロットルハウジングに親指を掛けて仮固定、15)息を吸い込み呼吸を止め、16)渾身の力を込めてキックペダルを踏み下ろす。17)0.3秒後立ち上がる人の手を引くようにそっとスロットルグリップを回し始め、18)エンジンの動きに合わせ回転を上げ、19)エンジン回転を維持、20)アイドリングの落ち着き具合を見ながらバイスターターを戻す |
始動に失敗した場合 |
目次 |
18_b)エンジン始動に失敗した場合
18_b1)燃焼兆候、有り
18_b2)燃焼兆候、無し
18_b2_1)燃焼兆候、無し。プラグ被り、無しと確証有り
18_b2_2)燃焼兆候、無し。プラグ被り、不明、確証無し
18_b2_3)燃焼兆候、無し。プラグ被り、有りと確証有り
18_b2_4)燃焼兆候、無し。プラグ被り、著しい確証有り
18_b2_5)燃焼兆候、無し。手を尽くしても皆無
18_b2_e)「点火系」動作確認
18_b2_f)「燃料系」動作確認(燃料タンク〜キャブレター経路)
18_b2_f1)燃料経路確認、燃料タンク〜キャブレター間(オーバーフロー)
18_b2_f2)燃料経路確認、燃料タンク〜キャブレター間(ドレンプラグ)
18_b2_f3)燃料経路確認、燃料タンク〜キャブレター間(燃料コック)
18_b2_f4)燃料経路確認、燃料タンク〜キャブレター間(燃料チューブ)
18_b2_f5)燃料経路確認、燃料タンク〜キャブレター間(燃料ストレーナー)
18_b2_f6)燃料経路確認、キャブレター内部(フロートバルブ) 外部打撃
18_b2_f7)燃料経路確認、キャブレター内部(フロートバルブ) 直接動作
18_b2_f8)燃料経路確認、キャブレター内部(フロートバルブ) 分解動作
18_b2_f9)燃料経路修復、キャブレター内部(フロートバルブ) 分解交換
18_b2_f10)燃料経路修復、キャブレター内部(フロートバルブ) 分解修理
18_b2_f11)燃料経路修復、キャブレター内部(フロートバルブ) 分解改造
18_b2_e1)点火経路確認、(スパークプラグ)直接火花確認
18_b2_e2)点火経路確認、(ハイテンションコード、一次側配線)
18_b2_e3)点火経路確認、(点火コイル、CDIユニット、ステーターコイル) |
手順 |
18_b)エンジン始動に失敗した場合
18_b1)燃焼の兆候有りの場合 8)より再開
18_b2)燃焼の兆候無しの場合
18_b2_1)プラグ被り、無しと確証有りの場合 8)より再開
18_b2_2)プラグ被り、不明、確証無しの場合 8)9)10)11)12)13_b)プライマリーキャブのスロットバルブを、2〜3o開く位置までスロットグリップを回し、14)16_b)出力90パーセントのキック。 17)18)
18_b2_3)プラグを被らせた可能性が高い場合
18_b2_3_1)スロットルグリップを全開に回し固定 8)9)10)11)16_b)持久戦に備え、出力75パーセントのキックを五回繰り出し、シリンダーに空気を通過させ、プラグを乾かす=「プラグ乾燥動作」 8)より再開(持久戦に備えキック出力90パーセントに抑える。
18_b2_4)燃焼兆候無く、エンジン始動失敗を繰り返した場合。 1)2)3)4_b)バイスターターを戻す7)基本的な部分を全て確認。
18_b2_4_1)「プラグ乾燥動作」持久戦に備え、出力75パーセントのキックを、間隔を開け十二回繰り出す。13_c)スロットルバルブ全閉 16_b)出力75パーセントのキックを繰り返し、燃焼の兆候を探る。 17_b)スロットルグリップは全閉固定、燃焼兆候無い場合は、バイスターターバルブを開けて数回キック、燃焼兆候無い場合は、18_b2_4)に戻り3セット試行
18_b2_5)全く燃焼兆候無く、エンジン始動失敗を繰り返した場合。
18_b2_e)「点火系」動作確認 分岐 下記 |
18_b2_f)「燃料系」動作確認 以下 |
18_b2_f1_1)周囲に着火元になりそうなものが、無い事を確認する(アイドリング状態のエンジン、たばこ、火の点いた吸い殻、たばこを吸いそうな人等) 18_b2_f1_2)バイクの下にガソリンがかかると、致命的に困るものが無い事を確認する。 18_b2_f1_3)バイクの左側に立ちギアを入れ、サイドスタンド格納、身体で車体を支えながらバイクを傾けて、キャブレターのオーバーフロードレンチューブから、ガソリンが漏れ出る事を確認する。(ガソリン供給確認)
18_b2_f1_a)キャブレターにガソリンが、供給されている場合。18_b2_4)より再開
18_b2_f1_a2)キャブレターにガソリンが、供給されている場合。(18_b2_f3)経由の場合。 8)より再開(キック出力90パーセント)
18_b2_f1_b)キャブレターにガソリンが、供給されてない場合。18_b2_f3_1)燃料タンクのキャップを開け、中のガソリンを確認、燃料コックの開閉を、数回繰り返し、リザーブ位置にする。 18_b2_f1_1)より再開
18_b2_f1_a3)キャブレターにガソリンが、供給されている場合。18_b2_4)より再開
18_b2_f1_b2)キャブレターにガソリンが、供給されてない場合。 18_b2_f6)車載工具を出し、プラスドライバの先端を、キャブレターのフロート付近に当てて、グリップ部分をプライヤーで軽く叩き、衝撃を与えてみる。 18_b2_f2)より再開
18_b2_f1_b2_a)キャブレターにガソリンが、供給されている場合。18_b2_4)より再開
18_b2_f1_b2_b)キャブレターにガソリンが、供給されてない場合、18_b2_f2)車載工具のマイナスドライバーで、キャブレターのドレンプラグを緩めて、フロート室のガソリンを排出してみる。(ガソリン供給確認)
18_b2_f2_a)キャブレターにガソリンが、供給されている場合。18_b2_4)より再開
18_b2_f2_b3)キャブレターにガソリンが、供給されていない場合。
18_b2_f3)燃料コックを閉じ、キャブレターに燃料を供給している 18_b2_f4)燃料チューブを、車載工具のプライヤー等を使いキャブレター側で抜く、燃料コックを開き、ガソリンの流出を確認する。
18_b2_f4_1a)ガソリンの流出が有る場合。18_b2_4)より再開
18_b2_f4_1b)ガソリンの流出が無い場合。
18_b2_f5)車体より燃料タンクを取り外し、上下左右に振って攪拌してみる、燃料コックを開き、ガソリンの流出を確認。
18_b2_f5_a)ガソリンの流出が有る場合。18_b2_4)より再開
18_b2_f5_b)ガソリンの流出が無い場合。
18_b2_f5_b1)燃料コックの逆サイド側に燃料を貯めて、 燃料コック部を油面上に保つ事が可能な場合は、 燃料コックを取り外し、分解清掃を行う。
18_b2_f5_b2)燃料残量が多く、燃料コックを取り外す事が出来ない場合は、 周囲のバイクに救助要請を出す等して、余分な燃料を抜き、燃料コックの分解清掃を行う。
18_b2_f5_b2_b)燃料コックが機能回復しない場合、部品交換が必要なので、現場での解決は諦め、ロープ牽引もしくは保険のレッカーサービス等、救助要請を出す。
18_b2_f5_b2_a)燃料タンクからキャブレターへの、ガソリン供給が回復した場合。
1)より再開
18_b2_f6_b)エンジン始動ができない場合。
18_b2_4)燃料系再確認 18_b2_e_4)点火系確認
18_b2_f6_b2)エンジン始動ができない場合。
18_b2_f7)車載工具のプラスドライバーで、フロート室固定ネジを緩め(外さない)、フロート室に軽い衝撃等を加え、固着パッキンを剥離させた後、さらにネジを緩め、キャブレター本体とフロート室に隙間を開ける。隙間からピンセットや爪楊枝状の小枝等を使い、壊さないようにフロートを動かしてみる。
18_b2_f7_a)フロート室にガソリンが、供給されてきた場合。
1)より再開
18_b2_f7_b)フロート室にガソリンが、供給されてこない場合。
18_b2_f8)フロート室の分解清掃を行う。 フロートの状態、フロートバルブの作動を確認。
18_b2_f8_1)各部品、動作に問題なければ組み立て、18_b2_f2)プロセスでガソリン供給確認
18_b2_f8_1_a)フロート室にガソリンが、供給されてきた場合。
1)より再開
18_b2_f8_1_b)フロート室にガソリンが、供給されてこない場合。
18_b2_f8_1_b_1)現場での復旧は諦めて救助要請を出す
※以下「いじり壊し」の危険が高い作業。非常時のみ試行
18_b2_f9)セカンダリーキャブレターの状態を確認し、良好ならば分解してプライマリー側と部品を比較、入れ替え可能な場合は組み直し試行する。
18_b2_f10)セカンダリー側の部品の状態を参考にプライマリー側の部品の修正、修復、復旧を試みる。
18_b2_f11)セカンダリーキャブの機能を殺し、部品取りに使いプライマリーキャブのみ復旧させる。 |
18_b2_e)点火系動作確認 |
スパークプラグよりハイテンションコードを引き抜き、再度装着、18_b2_4)より再開、燃焼の兆候が無い場合は、以下のプロセスへ
18_b2_e1)車載工具にてスパークプラグを外し、電極の状態を確認する。必要に応じてギャップの調整を行う。
18_b2_e1_1)電極が被っている場合、回復させる(ワイヤーブラシで磨く、炎で焼く等)
18_b2_e1_2)接地電極部をシリンダーフィンに接触させつつ、キックスターターを動作、クランキングさせて電極に強い火花が飛ぶ事を確認する。
問題なく火花が飛ぶ場合は、 18_b2_4)より再開
燃焼の兆候が無い場合は、 18_b2_f)より再開
18_b2_e2)プラグに火花が飛ばない場合。ハイテンションコードの状態を確認(外見上のひび割れ、曲げによる断線等)、接続を確認、
点火コイル一次側の電極の接続を確認、配線の状態を確認(外見上のひび割れ、曲げ擦れによる被服の損傷、ショート、腐食、断線等)、
18_b2_e3)CDI(静電容量放電点火)ユニット、コンデンサー、目視点検、配線のひび割れ、曲げ擦れによる被服の損傷及び接続部の腐食、接触不良等の点検、
※サーキットテスターによる各部品の導通試験(当時はテスター不携行、BMWR1150GSAdv導入時より携行)
ステーターコイルの導通確認、
可能な点検確認を行った後、18_b2_e1_2)火花確認、 火花が飛ばない場合、点火系部品、コネクター全バラ、清掃研磨、部品を軽く叩いたり撫でたりしながら呪文を唱えつつ再組付け、 18_b2_e1_2)火花確認、 それでも火花が飛ばない場合 電極を指で触りながら火花確認 電撃を感じる場合 プラグギャップを極端に狭くして火花テストを行う 全く電撃を感じない場合、現場での自力復旧困難、救助要請
(ホンダXLX250R RFVC ツインキャブ オートデコンプ有り) |
以上 結果と原因の連鎖が作法とその心になる |
キック一発でエンジンを始動する |
成功すると |
バイクは神経の通った身体の一部となる |
元旦の宗谷岬でキック一発始動させる事が一年をスタートする重要な儀式だった |
それが昭和の最後になるとは分からずに 真剣にライダーキックをおみまいしていた当時 よもやそんな年越しが30年続くとは想像もしていなかったと思う |
そして現在 もはや右足から渾身のライダーキックは繰り出せない 正確にはXLX250Rを一発で目覚めるさせるに十分な強いライダーキックを繰り出せない
2011年に壊れてしまった 修理不能 替えの部品も無い そんな事態も想像していなかったと思う |
それでも悲しむには及ばない バイクの右側面に立ち 右手でスロットルグリップを握り 車体を起こし ブレーキをかけ安定させ 正面から渾身の左足ライダーキックをおみまいすれば TLM220Rは一発で目覚めるのだ
TLM220Rは 2ストロークの単気筒エンジン シングルキャブのピストンリードバルブ方式 4ストロークのXLX250Rとは構造が異なるも基本は同じ
右足と左足も取り付け位置が違うも基本構造は同じ 新たな作法を編み出せばバイクと神経を通わせる事が可能になる
一つ不便を手に入れると 関連する複数の不便もおまけで付いてくる もれなく不便を解決する必然が手に入る 解決方法を探す創造力が起動する
バイクは自由の翼 エンジンを起動して障害物を突破する これからも 自由の翼に乗って 障害を突破していく |
※エンジン一発始動の情熱を忘れかけた時に備えて備忘録 |