79)元旦宗谷岬ツーリング2009_2+
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雨降りの年明け
深夜にもかかわらず雨混じりの北風が吹き荒れている日本最北端の宗谷岬です。
極端に雪が少ない宗谷岬公園の写真
1)
 大晦日の深夜にもかかわらず、プラス気温で横殴りの雨が降っています。強風の為、岬の広場にはテントが一張りしかありません、今年は天候が悪く野宿する人が少ないようです。
バイクが集まる宗谷岬公園のトイレの写真
2)
 岬にテントを張って野宿するライダーは公衆トイレを風除けに集っています。トイレは凍結防止の為に暖房が利いているので自然と人が集ります。自動車で来ると暖房の利いた車内で温まり、快適に寝ることができますが、剥き身の旅人は寒さや風雨ゆえ背に腹は代えられない状況です。
トイレ横で雨に濡れるテント村の写真
3)
 便所横のテント村も雨で濡れ強風で変形しています。 
強風に負けずに打ち上げられた花火の写真
4)
 強風吹き荒れる中、年が変わった瞬間に新年を迎える花火が上がりました。花火の流れ方から風向と強さが伺えます。

 花火のあと稚内から駆けつけたバイク仲間達と新年の挨拶を交わし、初詣や餅撒きに参加したりして楽しみました。・・・それにしても日本最北端の宗谷岬で新年早々雨振りとはなんたる事か!

 帰って飲みなおす仲間を見送って、こちらもテントに戻って飲みなおしです。
雨に濡れる宗谷岬灯台に通じる坂道の写真
5)おまけ付き

 丘に登る急斜面にも雪がありません。灯台の光が濡れた路面に反射して光っています。もしこのまま凍ってしまったら歩く事すら難しい、スタッドレスタイヤでも滑って登れない困った凍結路面になります。

 それは一見濡れているように見せかけて実は凍っているという状態で、黒く見える事から「ブラックアイスバーン」と呼ばれる凍結路面です。油断して近付く車両をことごとくやっつけてしまう怖い罠です。山沿いの住宅地等では生活道路がこのような状態になる事も珍しくありません。

 冬道の運転には、濡れているだけか?凍っているのか?路面を読んで罠を見抜く力が必要です。 実際には、濡れているか凍っているか、という単純な事では無く、気温零度前後の、凍り始めと融け始めを見極めるのが難しい時の判断が重要です。

 夜間は路面の光の反射具合で凍り始めが判りますが、日中は路面を読むのは難しく、午後には常にタイヤのグリップ感覚と気温に注意しながら運転します。

 Q:この写真の路面はどの状態でしょう?
雨に濡れながら干支のキーホルダーを貰うために並ぶ人の列の写真
6)
 一晩中風雨に明けた元旦の宗谷岬です。残念な事に雨が叩き突ける悪天候で、初日の出が望めない事は確実です。岬に集る人々も極端に少なく、記念品をもらう列の長さがいつもの半分もありません。
雪が無くて寂しげにしている赤白の除雪ポールの写真
7)
 空が白み始め日の出の時刻が近付いてきました。集った人たちは記念品を受け取ると車の中に逃げ込んでいきます。風雨が強くて外に立っていられません。駐車場も車が少なく空いています。  雪が無く除雪ポールが寂しげです。
ダンボールの中に一杯入っている干支キーホルダーの写真
8)
 今年は参加者が少なく、干支キーホルダーが一杯余っていました。天気の良い年には足りなくなる事もありますが、その時の天候次第で人出は大きく増減するので仕方の無い部分です。
宗谷岬に多数集結した観光バスの写真
9)
 悪天候の中、各地からバスツアーもやってきていました。ツアー参加者の方と話をすると、大晦日の晩に札幌を出発して宗谷岬を目指してくるそうですが、道中で年を越す訳で、何かイベントでもあるんですか?と聞いたところ、添乗員さんが「あけましておめでとうございます」と告げるだけだそうです。

 札幌を出る前に天気が悪く初日の出は望めない事はわかっていたそうですが、予約してあったので来たそうです。バイクで年越キャンプにやってきている立場から言うのも何ですが、色々な趣向の人がいるものですね、・・・そういうの大好きです(笑)
日の出時刻を告げる短い打ち上げ花火の写真
10)
 午前7時12分の日の出時刻に合わせて花火が上がりました。 
日の出が望めない為岬の丘に均等に撒いたように散らばる人々の写真
11)
 見渡す限りの厚い雨雲に覆われてしまい、日の出は全く望むべくもありません。短い花火が終わったら皆一斉に帰り始めました。
建物に寄り添うように立てられたテントとバイクの写真
12)
 今年は雪が超少ないので丘の上の建物の影にもテントが張られていました。このグループは完全な山岳用テントを装備していました。
キャンピングカーの陰に立てられたテントとバイクの写真
13)
 下の駐車場の片隅にも車の影になるようにテントが張られていました。

 北海道を旅する内地のライダーは基本ソロツーリングで来道して、自然発生的に集団になるミツバチ族的な集団と、あらかじめ数名のパーティーを組んで計画的にツーリングをしているグループがいるようでした。

 それぞれに装備を研究して冬の北海道ツーリングを楽しんでいるようで、今回は夏タイヤのバイクは見当たりませんでした。

 この時期夏タイヤで走る車などいない事は北海道では常識ですが、一部の夏タイヤ武勇伝?を、真に受けてしまう本州ライダーがいなくなったという事かもしれません?あるいはフェリーターミナル一周の旅で帰っているとか途中で淘汰されているか、人知れず一番痛いパターンで苦しんでいるか、いずれにせよ辛い情報は潜行してしまい、逃した魚も釣った魚も大きい話しになりがちです。

 冬のツーリングは凍結路面の罠を見抜く力が必要ですが、その前に情報を見抜く力も必要かもしれません。 たまたま路面に雪が無くて夏タイヤのまま深入り出来てしまうと、屋根に上って梯子を外された状態になってしまいます。(笑)
大韓航空機撃墜事件慰霊塔とレリーフの写真
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 日の出が望めないので、宗谷岬平和公園を探索してみました。

 写真手前のレリーフを転記

 平和を願い
 北国の地、宗谷岬平和公園に咲き続ける可れんな花アルメリア(和名ハマカンザシ)は、イソマツ科の宿根草で浜辺に自生する。
 潮風に強く、最北の地にふさわしい花として宗谷岬漁協組合婦人部は、昭和六十年九月一日、祈りの塔設立を期にアルメリア植栽を始めた。
 世界の恒久平和と大韓航空機犠牲者の冥福を祈り、悲惨な事故が二度と起きないように願いを込め、オホーツク海の安全を祈り、またイワベンケイの花文字で、「世界平和」を誓い、私たち婦人団体は人命の尊さに願いを咲かせた。
 宗谷漁業協同組合女性部
大韓航空機撃墜慰霊碑の説明石碑の写真
15)
 石碑の文字を転記

 大韓航空機撃墜事件 1983年9月1日 ニューヨーク発アンカレッジ経由ソウル行き大韓航空007便ボーイング747型旅客機は定められた航路を大きくそれ ソビエト領空を侵犯しソビエト戦闘機のミサイル攻撃によりサハリンモネロン島付近で撃墜された 日本時間9月1日午前3時26分頃 同機に乗っていた乗客240名と乗員29名 計269名の全員が死亡した 
 日本人の犠牲者は28名 在日韓国人1名 乗客の国籍は16ヶ国に及び 平時の民間航空機の惨事としては史上最大級のものであった
 
折鶴をモチーフにした大韓航空機撃墜事件の慰霊碑の写真
16)
 石碑に刻まれた設計趣旨の転記

 祈りの庭は、大海に浮ぶ安息の小島を願ったもので、東西の壁によって切りとられた半円形としてある。愛しい人々の霊の平和を祈り、事件の真相と真の平和を鶴首して希求する祈りの塔は、サハリン西方・モネロン島沖、北緯46°30′、東経141°30′の撃墜された海面に向かい、直立した塔の頂部は、この緯度に傾けられている。塔の高さ1983糎は1983年に因んで定められ、塔の先端の影は9月1日にチェアーストーンの中心線上を正しく移動するように作られている。塔体は犠牲者269名に因み269片の花崗岩で構成され、左右の翼壁は犠牲者の国籍16ヶ国に因み計16枚で構成されている。

*鶴首(かくしゅ)鶴の首のように長い首の事、首を長くして待つ事

*1983糎(センチ)=19.83メートル
丘の上から鶴のオブジェが指し示す方向を望む写真
17)
鶴のオブジェは遥かこの先を指しています。 
20本以上のペグと張り綱で固定されているテントの写真
18)
 朝から風雨にさらされ続けてすっかり身体が冷えてしまいました。テントに戻って今晩の新年会に備えて二度寝します。雨に濡れたウエァーを脱いで、まだ温もりの残る寝袋に潜り込むと、水鳥の羽毛に柔らかく包まれます。地べたに寝転んで聞く潮騒が心地よくて、融けるような転寝に落ちていきます。
テントの中から見る2009年宗谷岬の初日の出の写真
19)
 転寝の瞼越に急に明るさを感じて空を見ると、お日様が顔を見せてくれました。4時間遅れの2009年宗谷岬の初日の出です。ありがたく正座などしてペットボトルのお茶を飲んで活動開始です。
シュイナードティーステークペグ時代から歴代揃えた色とりどりのペグの写真
20)
 テント設営に総動員したペグ達です。今回は強風に耐える為、テントはペグ(杭)を20本打ち込み、張り綱を10本張ってしっかり設置しました。(テント本体フロア8角形+前室2箇所=10箇所+張り綱10本分+携行ピンペグ全て重ね打ち)

 ジュラルミン素材むき出しのペグは腐食に弱いので付いた泥を綺麗に洗い落として撤収します。丘の上にはこの時期としてはありえない大きさの雪解けの水溜まりが出来ていました。
昼頃一瞬顔を見せたお日様は、すぐにまた厚い雲に覆われてしまいました。
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